肉弾戦派と巻き込まれる予備軍の日常
「待って、待って、レレイさん待って……!」
「離せ、マリア……!」
ずりずりと美女二人に引きずられている男二人という異常な光景に、
そう、この一見すると異質にしか見えない光景は、《
引きずっているのは、マリアとレレイの肉弾戦派コンビ。
三度の飯より戦闘が好きで、
対して、引きずられているのはウルグスとラジだ。
どちらも、女子二人と同じく肉弾戦派の前衛型だ。そういう意味では同類と括ってしまっても良いかもしれない。しかし、それをすると彼らは心の底から怒るだろう。ウルグスとラジは、別に女子二人のように戦闘大好きではないのだ。
ウルグスはまだ見習いながら、大人並みのしっかりとした体格に豪腕の
そしてラジは、言わずもがな戦闘型だ。虎獣人の恵まれた身体能力を生かした、かなりの腕前の格闘家である。……ただまぁ、彼の場合は血が苦手という性質とやや引っ込み思案な部分もあいまって、自分からぐいぐいと飛び出していくようなところは、ない。
なお、ラジの引っ込み思案な部分は、生真面目な性格に起因している。しかし、マリアやレレイに振り回されているときには、その性質は出てこない。彼女達が相手のときは、全力で抵抗しなければいけないと身に染みているからだろう。
とりあえず、悠利の目の前で押し問答を繰り広げているのは、そんな四人だった。
「レレイー、マリアさーん、何やってるんですかー?」
ウルグスとラジがあまりにも必死に抵抗しているので、悠利は見かねて声をかけた。鼻歌を歌いながら男二人を引きずっていた女子二人は、そんな悠利の呼びかけにピタリと動きを止めた。
そして、今初めて悠利に気付いたと言いたげにパチパチと瞬きを繰り返す。けれど次の瞬間には笑みを浮かべて、二人を引きずったまま悠利の方へとやってくる。
……何で引きずってるままなんだろうと思ったが、そこはとりあえず横に置くことにした悠利だった。話が脱線しそうな気がしたので。
「やっほー、ユーリ」
「ユーリは休憩中かしらぁ?」
「ちょっと手が空いたので休憩してます。それで、二人は何をやってるんですか?」
「「ちょっと鍛錬しようかと思って」」
「……へー」
悠利の改めての質問に、女子二人は晴れやかな笑顔で答えた。とても晴れやかな笑顔だった。清々しいというか、心の底から楽しんでいるというか、とりあえず、物凄く素敵な笑顔だった。
……そう、笑顔は素敵だ。彼女達がそれぞれ、嫌がって抵抗する男子をその腕で掴んで引きずってきたという事実がなければ、素敵な笑顔だと思えただろう。
まったく悪気がないんだろうなぁと思いながら悠利が、視線をウルグスとラジに向ける。レレイに腕を掴まれたままのウルグスは、悠利に向けて告げた。
「俺はラジさんに鍛錬をしてもらおうと思ってただけなんだ」
「うん」
「ラジさんにお願いしただけなんだ」
「うん」
「俺が頼んだのはラジさんであって、レレイさんでもマリアさんでもないんだよ!!」
「……うん、凄く切実だっていうのは伝わったよ、ウルグス」
同じことを三回も繰り返すほどに、ウルグスはそこを主張したいらしい。悠利にもその言い分は理解できた。どう考えても、女子二人に頼むよりラジに頼む方が安全だ。
そもそも、ウルグスは豪腕の
ラジもウルグス相手の手合わせを嫌がることはなく、予定もないので二人で鍛錬をしようとなったのだ。しかし、そこに現れたのがマリアとレレイの二人組。自分達だけの手合わせをアリーに禁止されている二人は、丁度良い相手が見付かったと言いたげに突撃してきたらしい。
切々と訴えるウルグスの話から情報を整理した悠利は、憐れむように二人を見た。捕まっちゃったんだねと悠利が呟くと、二人揃って嫌そうに視線を逸らすウルグスとラジだった。
「どうせなら、皆で一緒に鍛錬をすれば効率が良いと思っただけなのよぉ?」
「僕はウルグスと鍛錬をするつもりであって、マリアやレレイとするつもりはない」
「俺もラジさんにお願いしただけで、お二人とご一緒したいとは思ってません!」
「えー、何でそんなこと言うのー?皆で鍛錬した方が楽しいってー」
妖艶に微笑むマリアはラジにすげなく切り捨てられ、首を傾げながらウルグスの腕を引っ張るレレイは、彼に思いっきり嫌そうな顔をされていた。男女の間で越えられない溝が出来てしまっている。
ちなみに、マリアとレレイが二人だけで手合わせをするのを禁止されている理由は、終わらないから、だ。体力お化けの肉弾戦派の女子コンビの手合わせは、彼女達の体力が尽きるまで終わらない。そして、ついうっかりやり過ぎて周囲に被害をもたらしてしまうまでがセットだ。なので、アリーに禁止されているのである。
そんな血の気の多いコンビと鍛錬なんて真っ平ごめんだと言いたげに、ウルグスとラジは離脱を試みていた。彼らは鍛錬をしたいだけであって、気を抜いたら大怪我をしそうな手合わせをしたいわけではない。
その場に、二人を止めることの出来る指導係の誰かが一緒ならまだしも、四人だけの鍛錬なんて意地でも嫌だという態度を崩さない。……過去に何かあったんだろうなと思ったが、そこに口を挟まない悠利だった。聞きたくなかったので。
とはいえ、嫌がる二人を無理矢理連れていくのはどうだろうと思ったので、そちらの方面で口を挟むことにした。
「マリアさん、レレイ、嫌がる相手を無理矢理参加させるのはどうかと思いますよ」
「あらでも、鍛錬の予定があったんだから、そこに交ざるだけよ?」
「そうだよ、ユーリ。交ざるだけだよ」
「でも二人は、四人で鍛錬をするのは嫌みたいだよ」
「何故かしらねぇ?」
「何でかなぁ?」
「「……」」
どうして自分達の相手をするのが嫌がられているのか、まったく理解していない女性達だった。
いや、マリアは一応、把握はしている。しているので、ぼそりと「別に身内相手で殺しにかかったりはしないわよぉ」と呟いている。発言内容が案の定物騒なダンピールのお姉様である。
ラジは勿論マリアの発言が聞こえているので、反論を込めて床を強く踏んだ。聞こえているという意思表示だろう。マリアは楽しそうにころころと笑うだけで取り合わないが。
レレイの方は欠片たりとも理解していない。ウルグスの腕を掴んだまま、「ねーねー、何でー?」と暢気に問いかけている。無邪気だった。実に無邪気だ。なので、逆にタチが悪いともいえた。
そんな四人を見て、どうやって助け船を出したら良いのだろうかと悠利は悩む。マイペースな女子二人に悠利の言い分はなかなか通じない。割と本気で嫌がっているように見えるので、何とか止めてあげたい悠利なのだ。
悠利だって勿論、鍛錬の重要性は理解している。レレイとマリアが、純粋に強くなるために鍛錬を希望しているのだろうということも、解っている。
解っているが、それはそれ、これはこれ、だ。
「……アレ?マグ?」
「……」
考え事をしていた悠利は、いつの間にか隣にいたマグに驚いた。元々足音や気配のしない少年ではあるが、いつまで経っても慣れないのだ。
そんな悠利の驚きなど知らないと言いたげに、マグはじぃっとレレイとマリア相手に必死に抵抗しているウルグスとラジの姿を見ている。一瞬の半分だけ、不愉快そうに眉が寄せられたのだが、悠利がそれに気付くことはなかった。
「マグ、どうかしたの?」
「あらぁ、マグじゃない。丁度良いところに来たわねぇ~」
悠利が問いかけるのと、マリアが楽しそうに声をかけるのがほぼ同時。マグはそのどちらにも答えず、やはり、じっとウルグスとラジを見ていた。いや、正確にはウルグスを見ていた。
マリアはラジの片腕を掴んだままマグの前にちょこんとしゃがみ込んだ。そして、微笑みを浮かべたままで言葉を続ける。
「ねぇマグ、貴方も一緒に鍛錬、どうかしら?」
「……鍛錬?」
「えぇ。これから、皆で一緒に鍛錬をしようと思っているのよぉ」
「マリア!何度も言うが、僕とウルグスは全力で拒否してるからな!?いい加減にこっちの話を聞いてくれ!」
ラジの叫びを物ともせずに、マリアは相変わらず楽しそうに笑ったままマグを見ている。彼女にとって、ラジの反応は本気で嫌がっているように思えないらしい。身体を動かし始めたら問題ないだろうとか思っている。自分がそういう人種なので。通じないって悲しい。
マグはそんなラジをちらりと一瞥してから、マリアの問いに答えずに動いた。レレイと攻防戦を繰り広げているウルグスの背中に、蹴りを一つ入れる。
当然ながら、いきなり蹴られたウルグスが背後を振りかえって叫んだ。
「痛いな!?何だよマグ、いきなり!俺は今、レレイさんの相手で忙し」
「用事」
「あ?何言ってんだ?用事なんて別に」
「用事」
自分の言いたいことが伝わらないことに腹が立ったのか、マグは再びウルグスの背中に蹴りを入れた。勿論、ほぼじゃれ合いなのでそこまで本気の蹴りではない。
……ちなみに、マグの蹴りがそれなりに綺麗なフォームで放たれたことを、レレイとマリアが笑顔で褒めている。対して、悠利とラジは「いきなり人を蹴るのはよくない」という道徳的なツッコミを入れていた。両者の対比が色んな意味で残念だった。
蹴られた背中をさすりつつ、ウルグスは面倒くさそうにマグを見下ろす。そして、自分をじっと見上げる赤い瞳から相手の考えを読み取り、大きく頷いた。
「解った。呼ばれてるんだな。それで、お前が迎えに来たと」
「諾」
「レレイさん、マリアさん、そういうことなんで、俺、急用が入りました」
「えー?そうなのー?残念ー」
「あらまぁ、それは残念だわぁ」
ウルグスの言葉に、レレイとマリアは心底残念そうに呟いた。けれど、用事のある人間を無理矢理付き合わせるつもりもないらしく、笑顔でウルグスを解放した。レレイにやっと腕を放してもらえたウルグスは、盛大にため息をついた後にぺこりと頭を下げる。
その隣で、マグが同じようにぺこりと頭を下げた。邪魔をして悪かったとでも言いたげな行動だ。
「それじゃ、俺はここで。ラジさん、また今度鍛錬付けてください」
「え?待て、ウルグス、ちょ……」
「頑張れ」
「マグ、何でこういうときだけ普通に応援するんだ、お前!?」
笑顔で手を振るウルグスと、その隣で淡々と応援の言葉を口にするマグ。明らかに自分が見捨てられたと理解したラジが叫ぶが、見習い組二人は何も答えずに去っていった。華麗なる撤退だった。
……その光景を見ていた悠利は、ちょっと思った。アレはもしかして、ウルグスを回収するための口実だったのではないか、と。だからウルグスの最初の反応がちょっと妙だったのではないか、と。
しかし、言わぬが花だと思ってお口チャックを続行した。真実はマグに聞いてみないと解らない。そのマグは、ウルグスと連れだってさっさと立ち去っているので。
そして、たった一人残されたラジは、両腕を腕力自慢の女子二人に掴まれていた。完全に捕獲された獲物の構図だ。一対一ならばまだどうにか出来たとしても、二人がかりではどう考えても分が悪い。
助けを求めるように視線を向けられた悠利だが、どうやればこの女子二人を止められるのかが解らずに、おろおろする。言葉は通じるのに会話は通じない、みたいになっているのだ。現実が世知辛い。
「それじゃ、三人で鍛錬しましょう?」
「そうしようー!」
「だから!僕は嫌だってさっきから何度も言ってるだろ!?いい加減、理解してくれ!」
ラジ、渾身の絶叫。
しかし、それを聞いた女子二人は、不思議そうに「何で?」と首を傾げているのだった。ワーカホリックならぬ鍛錬ホリックである脳筋女子二人にしてみれば、何で鍛錬を嫌がるのかがちっとも解らないのだ。彼女達にとって鍛錬は、誰が相手でも楽しい楽しい時間なのである。
こんな風に騒いでいたら誰か大人がやってきて怒られるんじゃないかな?と悠利が心配になった頃、ひょっこりと顔を出したのはリヒトだった。外から戻ってきたら大騒ぎをしているので、気になったのだろう。
「お前達、何やってるんだ?」
「あ、リヒトさん、お帰りなさい」
「お帰りなさい、リヒト」
「リヒトさん、お帰りなさい。助けてください!」
問いかけたリヒトを、レレイとマリアは笑顔で迎える。対してラジは、出迎えの言葉を告げた次の瞬間、切実な声で助けを求めた。
タイプの違う美女二人を両腕にくっつけているラジからの、本気の叫び。何となく状況を察しているものの、それでも確認は必要だろうとリヒトは、悠利に視線を向けた。
「……ユーリ、説明を頼む」
「了解です」
傍観者として客観的な意見を求められているのだろうと理解した悠利は、自分が見聞きした範囲の情報をリヒトに伝える。説明を受けたリヒトは、一瞬だけ遠い目をした。またかと言いたげな顔だった。
けれど口にしたのはまったく別の言葉だった。
「マリア、レレイ、それだけ元気が有り余ってるなら、商業ギルドの手伝いに行ってきたらどうだ?」
「「商業ギルドの手伝い?」」
「あぁ。荷運びの人手が足りなくて困っているらしい。手伝えば報酬は払って貰えるぞ」
「お手伝いかー」
身体を動かすことが好きなレレイは、人助けに繋がるならとちょっと揺れていた。大してマリアは、あまり興味をそそられていない。彼女は戦闘訓練がしたいのであって、身体を動かしたいわけではない。ここがレレイとの違いだ。
しかし、リヒトもその辺りのことは理解している。だからこそ、マリアに向けて言葉を続けた。
「ちなみにその商人は、高級トマトを取り扱っているらしい。貴族も食べるような、とても美味しいトマトだと小耳に挟んだ」
「高級トマト」
「困っているところを助けたなら、報酬として現物支給をしてもらえるかもしれないぞ」
「レレイ、人助けよ~」
「わっかりましたー!」
トマト大好きダンピールのマリアは、あっさりとリヒトの垂らした釣り糸に引っかかった。隣のレレイと腕を組んで駆けだしてく。なお、人助け&美味しいトマトが貰えるかもしれないということで、レレイに異論は存在しない。
元気に走り去っていった女子二人を見送って、悠利はちらりとリヒトを見た。今の情報の真偽を確かめるように。
「一応、全部本当のことだぞ?商業ギルドの前を通りかかったらそんな話をしていた。かなり大量の荷物らしくて、人手が足りないんだと」
「それで、レレイとマリアさんですか?」
「あの二人なら、一人で五人分ぐらいは働けるだろ?腕力的な意味でも、体力的な意味でも」
「「確かに」」
リヒトの説明に、悠利とラジは声を揃えて頷いた。物凄く実感がこもっていた。あの女子二人は、見た目の可愛さ妖艶さと裏腹に、腕力も体力もお化けクラスなのだ。
しかし、トマトで釣られるところも、あの二人らしかった。
マリアはトマトで戦闘衝動などを抑えることが出来る一族の出身だ。トマトは彼女にとって平穏に生きていくための必需品ともいえた。それだけでなく、マリアは普通にトマトが好物だったのだ。なので、高級トマトに心惹かれても仕方ない。
レレイの方は基本的に何でも美味しく食べるので、食べ物に釣られたという方が正しいかもしれない。勿論、純粋に人助けをするのも好きなのだが。
何はともあれ、リヒトの機転によって救われたラジは、目の前の先輩に拝む勢いで感謝を伝える。
「リヒトさん、本当にありがとうございます。おかげで助かりました」
「いや、俺も情報を持ってて良かったよ。流石に俺じゃ、一緒に鍛錬したとしてもあの二人の抑えにはなれないからなぁ」
「考え無しに暴れまくるあの二人が悪いんですよ」
「マリアは自覚があるのに暴れるのが困ったところなんだよなぁ……」
「本当にそれです……」
哀愁漂う男二人の姿に、悠利は小さくうわぁと呟いた。常日頃、彼らが被っているだろう被害とか苦労とかが垣間見えた気がしたのだ。
そこでふと、悠利は前から気になっていたことを問いかけた。何となく聞くタイミングを逃していて、今まで放置していたのだ。
「ねぇラジ、一つ聞いて良い?」
「何だ?」
「ラジ、マリアさんは呼び捨てだけど、リヒトさんはさん付けだよね?何で?」
「え?」
悠利の質問に、ラジは瞬きを繰り返した。そして、真顔で答えた。端的に。
「年齢が上だろうが、立場が上だろうが、先輩だろうが、尊敬できない相手を敬称付けて呼ぶのは一族の流儀に反する」
「一族の流儀!?」
「戦士としての矜持は常に忘れるな、と」
「そういう問題なの……?」
首を傾げる悠利に、ラジはこくりと頷く。彼にとってはそういう問題らしい。相手が雇用主ならいざしらず、そうでない限り、尊敬できない相手に敬称を付けるつもりはないのだという。なかなかに潔い流儀だなと悠利は思った。
思ったと同時に、マリアとリヒトの間に存在する明確な線引きに遠い目をした。いや、言いたいことは何となく解るのだ。会話が通じるとか、頼りになるとか、そういう意味でどちらに軍配が上がるかと言われたら、どう考えてもリヒトなので。
マリアに軍配が上がるとしたら、純粋な戦闘能力ぐらいだろう。悠利でもそう思った。
「ははは、ラジは大袈裟だな。俺は別に、そんな風に尊敬されるような人間じゃないぞ」
「そんなことはないです。リヒトさんにはいつも助けられていますし、僕の目指す先でもあります」
「俺が?」
「はい。僕はリヒトさんの、誰かを護って戦える強さに憧れているんです」
「そ、そうか」
気負った風もなく告げられた突然の賞賛に、リヒトは照れたように頬を掻いた。そんな風に言われることが滅多にないからだろう。基本的に気の良いお兄ちゃんという性格のリヒトは、困ったように笑う。
そんなリヒトとラジのやりとりを見ていた悠利は、何となく、何でラジがマリアやレレイに手厳しいのかを理解した。彼女達は確かに強いが、ラジが目標とする護る強さとはちょっと遠いのだ。
前衛職の面々は、何だかんだで攻撃型か防御型かみたいなところがある。ゲームのイメージで言うならば、アタッカーとタンクとか、戦士と騎士という感じだろうか。敵を切り崩すことに特化したタイプと、後衛を護ることに特化したタイプがいる。
身体能力や戦闘力という意味では文句はなくとも、元々の性格と戦闘スタイルが自分の目標と違う女子二人は、ラジの中で尊敬する先輩枠に入らないのだろう。まぁ、入っていなくても彼女達は何も気にしていないのだが。
「ラジ、時間があるならちょっと手合わせするか?」
「良いんですか?」
「あぁ。誰かに相手を頼もうと思っていたんだ」
「喜んで」
意気投合して去っていくリヒトとラジ。やや引っ込み思案というか遠慮をしてしまう性質があるラジなので、自分から手合わせを願うことが出来なかったのだろう。とても嬉しそうだった。
とりあえず色々と丸く収まったのを見届けた悠利は、はぁと長く長く息を吐いた。《
「明日は平和だと良いなぁ」
仲間内で喧嘩になるようなことは嫌だと思っている悠利の呟き。けれど、それを聞く者がいたならば、「平和じゃなくなるようなきっかけを乱発してるのはユーリなのに?」とでも言われそうだ。無自覚に何かやらかすのは悠利クオリティなので。
こんな前衛組の賑やかなやりとりが日常なのも、事実なのでした。元気なのは良いことです。多分。
ちなみに、マリアとレレイは二人で他の助力者の数倍の働きをしたそうで、報酬として高級トマトを持ち帰った。そのままで美味しいトマトは、夕飯に皆で美味しくいただきました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます