8#やって来た助っ鳥達
ヒヨドリのビア達が沢山の膨らましてない風船を急いで運んでいる時、後ろから呼ぶ声がした。
「ちょっとまったーっ!!あたい達も手伝わせてくれーっ!!ぽっぽぉ~」
「あっ!君達は・・・」
ハシブトガラスのジョイが気づいた。
「ちょっと待って!今降りるから!」
5羽は、人間の気配がしない安全な空き地に一旦降り立った。
「よおっ!風船大好きガラスのジョイ君!ぽっぽぉ」
ドバトの集団から出てきたのは、姉さんリーダーのポポだった。
「こんなところで大きな袋を抱えてどこ行くの?ぽっぽぉ!ぎくっ!」
ドバトのポポは天敵である、オオタカのピムを見て固まった。
「大丈夫だよドバトさん。今回は休戦しよう。今それどころじゃないんだ。」
オオタカのピムは事情を説明した。
「ふ~ん・・・今干潟が危機を迎えているので急いでいるんだ・・・で、この袋にはそこで作戦に使うゴム風船がいっぱい入ってると。ぽっぽぉ!で、このゴム風船はどこから手に入れたの?ぽっぽぉ。」
「それはね・・・。」カラスのジョイはドバトのポポに耳打ちした。
「ええ~っ!人間からくすねてきたの~!」
「い~けないんだ~!いけないんだ!さすが泥棒ガラス!」
「うるせえ!」ドバトのポポは、下っ端のドバトに跳び蹴りを食らわせた。
「ま、ジョイ君には街で生ゴミ漁りのおこぼれを貰っている仲だからまあ、多目に見るかぽっぽぉ。で、あたい達にも何か手伝うことは?ぽっぽぉ!」
「そうだなぁ~!そうだ!袋重いから、ゴム風船を何個か分けて持って行くことだな・・・でもドバトじゃ、風船は肺活量少なすぎるから膨らますことは・・・」
カラスのジョイは言うと、すかさずドバトのポポは、
「それは大丈夫だよぽっぽぉ!2羽一組でゴム風船を膨らませばいいんだよぽっぽぉ!」
「おっ!それはグッドアイデア!」シラサギのロイは相槌を打った。
「じろ~っ・・・ニヤニヤ・・・」
「えっ?!」ムクドリのムックはヒヨドリのビアの視線にギクッとした。
「あっ!僕にもそれ手伝わせてくれ!」
この鳥達の話に聞き耳を立てていたスズメのチュンタがやって来た。
「でもなあ~スズメの肺活量じゃ・・・」カラスのジョイは言うとチュンタは、
「大丈夫!僕はこう見えても肺活量には自信があるよっ!」
「手伝うのはありがたいけど・・・じゃあ、やってみな!」
カラスのジョイは、スズメのチュンタに膨らましていないゴム風船を渡した。
チュンタは息を思い切り吸い込むと、
ふぅ~~~~~っ!
ふぅ~~~~~~っ!
ぜえぜえ・・・
スズメの嘴では吹き口がどうしても大き過ぎてくわえないので、顔を突っ込んで膨らませなければならず、吐息がすぐ漏れてしまうのでスズメが一羽ではゴム風船を膨らますのは無理だった。
「じゃあ、あたいの可愛い兵士を一羽借すよ!」
ドバトのポポはスズメのチュンタに気前よい行ったが、その瞬間・・・
「僕も手伝いたい!」
「わたしも手伝いたい!」
「僕も!」
と、スズメやツバメ、ヒヨドリ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、ツグミ、シメ、キビタキ、カラワヒワ、ウグイス、キジバト、モズ、オナガ、ハクセキレイ、ハシブトやハシボソガラス等の野鳥達がゾロゾロとやってきた。
「野鳥の楽園の危機だって?これは聞き捨てならねえな!」
「私達に何か出来るなら・・・」
更に、セキセイインコや九官鳥、文鳥の“籠抜け鳥”まで助太刀にやって来た。中には自らゴム風船を持参する者もいた。
「おおっ!皆さん大勢で!」
シラサギのロイは空き地にズラリと集まった鳥達にビックリしていた。
「鳥達の大切な住処の干潟が危機だと聞いてね!」
「私達も何か協力出来ないかと・・・。」
「人間の干潟埋め立て阻止にゴム風船が必要だと聞いて。で、何に使うんだい?」
「何でこんなに集まったんだろ?」
ヒヨドリのビアは思った。
「みんな~!どうだい!」
ビア達が目指す干潟から飛んで来たのは、一羽のカワウだった。
ビア達やドバトのポポ姉さん達の目の前に降り立ったカワウも、膨らませていないゴム風船を持参していた。
「俺の名はカワウのジーダ。宜しくな。オオタカのピムに干潟が危ないと聞いてね、鳥達を呼んだのはこの俺だよ。みんながよく行く干潟だから守らなきゃと思っている鳥達がこんなに賛同するとは嬉しいよ!
で、埋め立て阻止にゴム風船を使うという案を考えたのは誰だい?」
「それはオオタカのピムです。」
シラサギのロイは答えた。
「ピムの訴えを聞いて俺はビックリしたよ。まさか干潟が危機に晒されているとはな。」
「そのためにこうやってみんなで街まで行って、ゴム風船を調達しに来たんですから。」
オオタカのピムは大事になってしまった・・・と思ってながらも、どんなもんだい!と鼻をふん!ふん!とさせてみせた。
「では、早く行かないと!みんな、干潟へ出発!!」
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