2#卵鳥好きなシラサギ

 飛んでいく緑色の大きな木の実・・・いや風船を追いかけて、ヒヨドリのビアは羽ばたきを休めなかった。


 それどころかどんどん風船から離されていく。


 羽が疲れた。それでもビアは緑色の木の実を捕まえようと必死だった。


 風船が豆粒みたいに遠くなっていってもう追いつかない!と半ば諦めたとたん、一羽のシラサギがその緑色の風船を突然くわえてキャッチした。


 ・・・あっ!・・・ 


 「やっとやっと卵鳥ゲット~るんるん♪」


 シラサギのロイは悲願の風船ゲットに上機嫌だ。


 思えば、生まれて始めのフライトで


 「向こうの方で白い卵が飛んでいるぅ~♪」


 と、シラサギのロイはその白い卵・・・

いや白い風船に突進して一緒に飛んでた仲間の和を乱し、リーダーのシラサギにこっぴどく叱られた事もあった。(実はそのリーダーもあの“卵鳥”が気になってたっていうか欲しい~と感じていた)


 それからシラサギのロイは飛んでる時、卵鳥が現れないかなあ~と辺りをキョロキョロしてしまい、壁にぶつかったり、危うく電線に突っ込んだりしそうになることが度々あった。


 「卵鳥~卵鳥~るんるん♪」


 シラサギのロイは風船のひもをクチバシでくわえ、ヘリウムガスで張り詰めた風船のゴムの表面から吹き口に付けられたバルブ弁までマジマジとニヤニヤしながら眺めていた。


 「あ~っ!僕が見つけた風船を!まてー!」


 呆気にとられたヒヨドリのビアはその大きな木の実を横取りされたことに怒って、シラサギを追いかけてた。


 追いかけて、追いかけて、追いかけまくって、いつの間にかとある干潟にたどり着いた。


 「卵鳥~卵鳥~ふんふんふ~ん♪」


 シラサギのロイは干潟の仲間に早く緑色の卵鳥を見せびらかしたくってワクワクしていた。

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