3#干潟は大騒ぎ
緑色の木の実?卵鳥?を追ってヒヨドリのビアとシラサギのロイはいつの間にか広大な干潟にいた。
杭には羽を乾かしてるカワウやオナガガモの夫婦、のんびりと歩くアオサギ、ホバリングして水の中に潜む魚に狙いをつけるコアジサシ、カルガモの親子、葦の茂みをやかましく鳴くオオヨシキリ、その葦に隠れるオオバン、干潟をあっちこっちに歩き回るイソシギ・・・
そして数十年ものあいだこの干潟を見守るカワセミの長老。
その平穏に野鳥達が暮らす干潟の上空にいきなり緑色の風船が現れてから突然騒がしくなった。
「あ、風船!きれ~い」第一発見鳥はカルガモのガーコ母さん。子供もやんややんや!
「大きなお魚が飛んでいる~」コアジサシのティンガは叫んだ。
「ふうせ~ん♪」アオサギのビッダ。
「いや卵だろ?」オオバンのラーダ。
「風船よあんた」「風船だね」オナガガモのナフとスフの夫婦。
「風船!風船!」カワウのみなさん。
「あの大きな物体はなんだ?」オオヨシキリのローク。
「なんだなんだ」イソシギのラス。
みんないっせいに、あの緑色の風船に向かって飛び立った。
「ゲッ!!!!」ヒヨドリのビアとシラサギのロイは仰天した。
みんな押し合いへし合いだ。
「みなさん待つのじゃ!」
ぼいんっ!
「のぉ~っ!」カワセミの長老もはじかれた。
もみくちゃの中の緑色の風船の吹き口に止めてある栓が拍子で外れた!
ぷしゅ~~~~~~~!!!!
ロケットのように中のヘリウムガスを出して萎みながら飛んでいく緑色の風船。
「あ~あ!」干潟の鳥たちはがっかりした。
「お前のせいだぞ!」「お前のせいだ!」
いきなりその鳥たちはいっせいに大喧嘩を始めた。
「あの木の実が、怒ってどっか行っちゃったんだ・・・」
呆然としたヒヨドリのビアは、萎んでいった風船を必死に追いかけた。
「卵鳥が縮んじやった」
シラサギのロイも、あの萎んでいった風船を探しに行った。
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