第22話 俺は無力だ……

「…………」


このまま消えて無くなりたい……


「…………」


……お腹すいた……門番ちゃんの手料理食べたい


「…………」


消えて無くなりたいと言いながら俺は……生を渇望するんだな……


「…………」


泥人形を回復させなきゃ良かった……


「…………」


一撃で決めるぜ〜と言いながら一撃で決められる……だって俺だぜ?


「…………」


あの泥人形……ひん死だったよね……なのに……


「…………」


俺がしたように水かけてくるって……相当怒ってたんだな……同じことされるとは思わねーよ……


「…………」


よくある小説なら……勝てたはずなのに……俺には主人公補正が無いんだな……主人公じゃ無いしな……他に勇者いるし


「…………」


ヒロインいないし……まず俺を好きになってくれる人居るわけないけどな……


「…………」


門番ちゃんがヒロインだったら死んでもいいや…


「…………」


彼氏いるけど……ね?


「…………」


虐待されてた子……大丈夫かなぁ? 心配だなぁ……


「…………」


タプ稼ぎたかった……


「…………」


宿の予約してみたかった……


「…………」


イケメンやろうの門番さんに見返したかったのに……笑われちゃうなぁ〜


「…………」


あんたそこでなにしてるのよ……


「……え?」


……ちゃんとします……お願いします


「……えぇ?」


「…………」


「……門番ちゃん……に……恩返しな…きゃ……虐待から……守らなきゃ……」










「あははは♪」


「……この声は……」


俺が目を開けると……夢の少女が遠くで遊んでいた


「……こんな時まで俺は妄想するのか……」


いつの間にかあの白い世界に来ていた


「レッちゃ〜ん……ミッちゃ〜ん、どこに隠れてるのかなぁ〜?」


……かくれんぼかな?


「あっ!♪……レッちゃん♪ みーけ♪」


レッちゃん見たかったようだな……


「……ミッちゃ〜ん」


あの子大人と子供の中間くらいなのに……幼い感じがする……


「……ミッちゃんは〜……ここ! いない……」


ミッちゃんうまく隠れてるようだ……


「……見せかけてここ! いたー♪」


おいおいフェイントだったのかよ……参りました


「後は……ルーちゃんだけ〜♪」


へー他にも居たんだ……ルーちゃんね


「……誰か……」


ん? どうしたんだろ……


「……誰か私を見つけてくれたらいいのに……」


「はっ!!」


俺は目を覚ました


「……何だったんだ……夢なのか?」


「……彼女は……」


「……俺にはまだやることがあるみたいだな……君は……夢の君を……見つけてあげたい……」


「その為にも……生きなきゃ……妄想癖が、生きる糧になるなんてなぁ……へへ♪」


俺は立つ


パンッ! パンッ!


身体中の泥を払う


「……俺は……弱い」


ケイゴはぐちゃぐちゃな顔を歪ませニヤける


「……勝てないのは今まで通り……でも……異世界に来たんだ……なら……やれる事をするまでだ……負けて当然……そう……それは……」


「……だって俺だぜ?」


俺は歩く……来た道も分からないままに……歩く








ケイゴが歩き出した後……木の陰から誰かが顔を出しケイゴについて行った……


その手に……空の瓶を持って……

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