第15話 俺はチョロくないぜ……

オークの肉野菜炒めを食べ終わった


「「ご馳走様でした」」


「……じゃっ、さっきの質問答えてもらうわよ?」


「……はい」


門番ちゃんは顎を使い先を促す


「……あの川で水浴びをしてました……」


「……こんな寒い日に……ケイゴって頭おかしいの?」


「……あはは……」


「……笑うところじゃないでしょ……はぁ〜」


門番ちゃんものすごく呆れてる……


「……気をつけなさいよね? 今風邪の季節なんだから」


「……ありがとうございます」


門番ちゃんはこんな俺を心配してくれるんだ……


門番ちゃんさっきより綺麗に見える……


「……そうそう! カード作った?」


「えっ? あっはい、作りましたよ! ほら」


俺は手を開き、門番ちゃんに見せつけるように…


「……スタンドオン!」


………あれ? 出ない


「……はぁ〜」


「いや! 本当カード作ったんですよ?! 嘘ついてない! てす!」


「……ケイゴってそういうところ多すぎよね……」


「……え? そういうところ?」


「……スタンドオンじゃないわよ? スタスオンね?」


「……あっ、あーそっちですか! いや〜どっちにしようか迷っててこっちの方が印象強くて言ったんです……」


「……ほら」


「……はい、では……スタスオン!」


俺は手の腹を曲げくの字にし言ってみた


すると……


「……ちゃんと出たわね……でもその手何なの?」


「……こうしたらカード持てるかなって……」


カードはちょうど指で挟む位置に勝手に出た


「……スタスオン……この出し方良いわね……」


門番ちゃんが俺の真似してカードを出している……


なんか嬉しい


「……スタスオン、カードはちゃんと手に入れたようね?」


「……はい、おかげさまで……」


「これからはそのカードが貴方の身分証だから、なくす事ないと思うけど大切にね?」


「……わかりました」


俺はカフィスを飲む……うん! ミルクカーフィー


「………」


「あの〜」


「……ん? どうしたの?」


「そういえば……入門する際に出したあの魔石で足りました?」


「……っ!」


ん? 門番ちゃん少しだけビックリしたような


「……あ、あ〜え、ええ……足りたわよ?

丁度10銅タプだったわ……」


「……一つ2銅タプだったのか……あぶねー」


「……そう丁度だったわ……」


「……えっと、これからは払わなくて良いんですか?」


「……えっ? そ、そうよ? これからはそのカード見せればいいわ」


「はぁ〜良かった……まだタプ無くてですね……」


「……そうなの、よね……ねぇ? 少し待ってて」


門番ちゃんは席を立ち、タンスをゴソゴソし始めた……


後ろ姿カッケー! 鎧きてるからさ……脚見れない


ガチャンッ


すると、門番ちゃんは机に袋を置く


「……これ少しだけど使って? 返さなくていいわよ?」


「…………」


俺はその袋の中身を確認した……


……タプだ……


「……こ、これって……」


「そこに500銅タプ入ってるわ」


「……え? そそそ、そんなに! いやいや受け取れないですよ!」


「……いいの、受け取ってくれないかしら……お願いします」


門番ちゃんは頭を下げて言う


……その言い方はずるい……断れないじゃないか……


「……わかりました、ありがたく使わせていただきます!」


「……そう言ってくれて助かるわ」


「……じゃ、そろそろ自分は……」


「……あら、こんな時間に……ごめんなさい長引いちゃって……」


「いえいえ! 自分はシャワーとご飯……それに、これ……までもらえて本当助かりました! ありがとうございます! いつか必ず恩を返しますから」


「……このくらい、いいのに」


「……では、さようなら」


門番ちゃんは玄関で手を振る


俺はしばらく頭をペコペコしながら歩き……門番ちゃんが見えなくなった













「助かりました……かぁ……きっと私のこと優しい人だと思っているんだろうな……でも私は優しくないの……私達に渡した魔石は5つともレアモンスターの魔石だったの……私達にも生活があるから……それでゆるして? ね? ケイゴ……」









「…………」


……おいおいおい! おい! なんなんだ! あのお方は!


美少女! 美少女なんだぞ! えぇ?


ありえないだろ! どこまで優しいんだ! 美少女ってあそこまで優しい人いないんじゃないの?


誰ですか? 女神ですよね! 地上にも降りてきてたんですね! 女神!


俺の命を救い! シャワー浴びさせてもらいーの?

昼飯! うまかったよ……それも♪


テ・リョ・ウ・リ♪


美少女の手料理って聞くだけで……本人ごと食べたくなるよな!


それに……お金、いやタプも貰った……


「…………」


俺は……生きるよ!


魔王とかは勇者に任せて…俺は……門番ちゃんに恩返しする!


待っていろ! 泥人形!


明日、俺は冒険者になってやる!


今日なれって? ナニイッチョルン?


今日俺死にかけたよ? あれ? でも昨日も死にかけたわ……えっと、うん、明日!


なんでもすぐ後回しにしちゃうんだ〜俺は


それで後で後悔するんだけどね……今は許してくれますよ! きっと


「………」


今日はもう宿で寝る! そうしよう! へへ♪


ガチャガチャ


「……異世界って言ったら……な! 宿イベントだよ! うん♪ 昨日のはノーカンな宿見当たらなかったから仕方ない!」


「……この門番ちゃんから貰った500銅タプ……大切に使わせてもらいますね?」


俺の顔は自然とニヤける


「……でも彼氏いるんだよなぁ……あんな女性を手に入れた門番さんが、羨ましい! 交代してくれ!」


ニヤけ顔からブスさます顔になった


「……はぁ〜」


ドンッ!


「うわーー! ごめんなさい!」


「ごめんなさい!」


下を向いて、とぼとぼ歩いていたら人とぶつかった


女の子だ、謝ってすぐかけて行ってしまった……


そんな走りしたら……ディフィフィ♪ パンツ見えちゃうよ?


「…………」


いい脚だった


「宿♪ 宿♪ どこにあるの〜♪」


ふっふー! 俺は今日、宿を探す。

昨日は硬い地面で寝たからな……ボロくてもいいから宿に泊まるぜ!


この門番ちゃんからもら……もら……


「…………」


「なーーーーい!」


この後俺は、来た道を暗くなるまで探しまくり…


昨日寝た場所で寝た


「……宿……」






「わぁ♪ 今日は沢山ある♪ これなら……」


ケイゴが叫んでいた後ろの角で少女が呟いた

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