第14話 俺はチョロイン…

「……あんたいつも顔ぐちゃぐちゃね……それに今日は体もぐちゃぐちゃじゃない」


門番ちゃんがいる……まだ俺死んでないの?


「こんな寒い日に川で何してたの?」


「…………」


「……話聞いてる?」


コク


俺は頷く


「……そう、そんな姿じゃ風邪ひくわ……家近くだから来なさい……ほら! いくわよ!」


「……えっ? ええ?」


俺は彼女に引かれるように後ろをついていった…



「ここが私の家よ……ちょっとそこで待ってて?拭くもの持ってくるから」


コク


彼女は家の中に入って行った


俺は今家の前にいる……俺がいた川からすぐ着いた……てか五分くらい


見た目はボロい木の家だ、大きくもない。


「ほら! パパッとそれで拭いて入って……そ、そんな見ないでよボロいのは仕方ないじゃない……」


顔を少し赤らめる門番ちゃんに……見惚れた


「……」


俺は体を拭き中に入る……靴はちゃんと脱いだ


「これ使って?」


門番ちゃんが俺にパンツとシャツを渡す


「……えっとこれ」


「……あっああ、それは私と一緒にいたやついるでしょ? そいつのよ……汚いかもしれないけどそれしかないから勘弁して? ね?」


「……はぃ……」


「シャワー浴びて来て頂戴、服もそこにあるし適当に来ていいから」


すると門番ちゃんは台所に消えた


「……」


やっぱりあの門番さんと恋人同士なんだ……それも同棲してる……くっ


俺は服を脱ぎシャワーを浴びる


「はぁ〜こんな事してくれる門番ちゃんは優しいな……それに美少女だ……彼氏同棲中……俺もイケメンなら……そういうことでもないんだけどね……」


「……あぁ、あったかい……身体中ピリピリする……でも気持ちいい……」


「……」


俺はタオルで体を拭き……門番さんのパンツを履く……はぁ〜


ビリビリ


まっ!そりゃーなるわな、サイズ合うわけねーよ


だって俺だぜ?


弁償しなきゃな……


ピチピチな服を着て台所の方に行く


「ちゃんと温まった? 身体もちゃんと拭い……ごめんなさい小さかったわよね……」


「いやちょうどいいですよ?」


「……そ、そうね」


「「………」」


渾身の俺のギャグ……だって俺だぜ?


「……これ飲んで」


門番ちゃんが俺に湯気の出たカップを渡す


「これは?」


「……それはカフィスよ」


カフィス……なんかかっこいい


一口飲んでみる……ミルクカーフィー


「寒い時はあったかい物で温めないとね」


門番ちゃんはニコッと微笑む……心もポカポカ


「ねぇ?」


「はい? 何でしょうか」


「昼食食べた? 食べてないなら一緒に食べてく?」


「え? いいんですか?」


「ええ、二人も一人も手間は一緒よ」


「……」


よく聞くセリフだ……実際そんなことないのにそういうこと言ってくれるって……あぁ


「……ど、どうしたの? そんな辛そうな顔して……そんなに私の料理食べたくないの……?」


「いえ! 絶対にそんな事ありません! すごく腹減っててうれじぐでっ!」


「……また泣いてる。男がそんなすぐ泣いちゃダメでしょ? もう……すぐ作るから待ってて」


「ありがどうございまず〜……」


門番ちゃんは、ため息を一つはき手をヒラヒラしながら台所に向かった


俺は席についた


女神様……地上にも女神がいます


「……」


「……ねぇ? そういえば聞いてなかったんだけど……あんたの名前は?」


門番ちゃんは料理を作りながら質問してきた


「……自分はケイゴです」


「……ケイゴ? 珍しい名前ね?」


「あっ、それギルドの受付の人にも言われました……」


「やっぱり? 私も今まで門番して来たけど聞いた事ないもの……」


俺の名前ってそこまでレアなのか……名前だけな?


「……ケイゴはどこ出身なの?」


「……どこから来たのか自分でもわかんないです……」


「……また嘘ついてるでしょ」


「……本当です」


これは半分本当で半分嘘だ……俺の県がどこにあるのか地図で見つけられないから……


「……そっ、ならそういう事にしといてあげるわ」


「……ずっと気になってたことがあるのよ……」


「……何でしょうか?」


門番ちゃんは出来た料理を持って来ながら質問して来た


「ケイゴはあそこの川で何してたの?」


「………」


グゥリュリュ〜


「……まずは食べてからにしようか」


「……すみません」


ハラヘッタ


何の料理何だろう……いい匂いがするのは思ってたけど……これ絶対にうまいわ


「「いただきます」」


「……この料理って何ですか?」


「……それはオークの肉を使った肉野菜炒めよ」


「……もぐもぐ」


「……どうかしら? 美味しく出来たとおもうけど……」


「……毛が抜けるほどうまいです」


「……毛が抜けるほどって意味わからないけど、美味しいなら良かったわ」


「じゃっ、私も食べようかしら……うん! 美味しい」


門番ちゃんは料理を美味しそうに食べる……


俺はあなたを食べたい!


「……で? ケイゴはあそこで何してたの?」


「……もぐもぐ」


「……まずは食べたいってことね……」


コクコク


俺と門番ちゃんは料理を黙々と食べた


門番ちゃんの優しさがとても嬉しかった……


オークの肉ってうまいな!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る