二十一本目① 探偵解散、捜査開演
予告状の通り犯行が行われるなら、夜までは何も起こらないだろう、ということで解散になった。18時に食堂に集まる手筈になっている。現在時刻は15時。各々が思い思いに過ごすために散っていく。
「さ、久々の探偵っぽい仕事だよお姉ちゃん!さっそく聞き込みに」
「そんなに探偵っぽいかな?」
「ダメだよお姉ちゃん、この刹那の『ぽさ』でも啜っておかないと、次はいつか分かったもんじゃないんだから、うちの場合。漫画や小説じゃないんだよ」
言ってて虚しくなってこないんだろうか。
「悲しいなぁ、美浜がそんなに卑屈になってしまって」
所長も泣きそうな顔をする。が、そんなことはお構い無し。
「残念だけど美浜、私は波音さんと話したいの。頼るなら犬斗君にして」
「お、任せてください!素晴らしいサポートを約束しますよ!」
やる気満々な返事にしかし
「犬斗君に頼むくらいなら一人で行くよ」
と連れない様子。犬斗君の心には、見事に深い深い傷が。
「いいもんねー、それなら私も愛都さんとおしゃべりしに行っちゃうもんねー。犬斗君、ありがとう、着いてきてもらわなくて大丈夫だよー」
グッサリ
「……私くらいは真面目に捜査しようかな。二人とも行っちゃうみたいだし」
「頼んだぞ、。2人も!一応依頼なんだから、やる時はやってよ!」
「「行ってきまーす」」
そそくさと出ていく。と、入れ違いに柊哉氏が入ってきた。
「お互い大変だな」
「まったくだ」
どちらからともなく声をかける。理香さんと犬斗君は空気を読んで、反対側のドアから出ていった。
「久しぶりに会ったんだ、少し話さないか」
「いいね。大企業の社長様の武勇伝なんて、なかなか拝聴できないし」
「ははは。ま、天才科学者の第二の人生ってのも、珍しさなら同じようなものだけどな」
そんな軽口を叩き合いながら、2人階段を登っていく。のを恨めしそうに眺める影が。
「所長、僕達には捜査しろって言ったのに」
「旧友からのお誘いだもの、断りにくかったのでしょうよ」
「………………ま、しょうがないですね。僕達が頑張りましょう!!」
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