二十点五本目 内緒話

「ねぇ、お姉ちゃん」

「なに?美浜」

「なんか局長楽しそうだね」

「そうね、昔からの友達との久しぶりの再会だもの」

「それにしてもここの人達はなんかすごいよね」

「なにが?小難しそうな話してること?それとも、予告状なんか送り付けられること?キードを作る会社の、社長とそのご家族ということ?」

「いや、それもあるけど、そもそもの家族構成とか」

「???」

「ほら、見るからに優しそうな当主の父親に、幸薄そうな美人の母親、やんちゃしてそうな長男、気の強そうな長女、子供っぽい次男、臆病そうな次女、おまけに慇懃無礼スレスレなほどの執事。いやいやいや、あからさまに怪しい一家すぎるでしょ!しかも次期当主を決めるとか!その時に限って送られてくる予告状!タイムリーにも程があるでしょ!」

「あんまり大きい声出さないの」

「あ、ごめんなさい」

「なになに?何の話ですか?」

「ここの人達みんながみんな怪しいって話よ」

「ね、犬斗君もそう思うよね?」

「ま、まあ、よくある小説の登場人物感はありますね」

「だよねー」

「あなた達もう少し静かに柊哉さんのお話聞きなさい」

「理香お姉ちゃんは誰が怪しいと思う?」

「え、今回はこの人達じゃなくて怪盗を捕まえるのよ?」

「…………理香お姉ちゃん(姉さん)(さん)が一番聞いてないじゃん(じゃない)(じゃないですか)」

「え??」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る