十七点五本目 縁の下の力持ち

「………はい、はい、ではそれで、はい、はいありがとうございます」

ピッ

「ああ、またしてしまった。電話口で見えない相手に頭を下げる癖。はやく治さないと。理香さんに不評なんだよなぁ」

「ニャー」

「おや、イナン、無事だったかい、よかったよかった。それにしても、さっきのは何だったんだろうね」

「ミャー」

「電話帳取り出そうとしたら棚ごと倒れてくるし、ケータイは充電切れになるし、パソコンはパスワードの書いた紙なくすし、電話使えなくなるし。電話は配線抜けてただけだったからまだよかった。一番のタイムロスは、本棚に本を戻す作業かな。由良、何故か本に異様に執着するから、バレたら絶対怒られるなぁ」

「ニャーン」

「イナンは怪我はないかい?私の方は本で打った左腕が痛いよ」

「ニャーニャー」

「どれどれ。……見たところ大丈夫そうだね。イナンに怪我なんかさせようものなら、今度は美浜に怒られちゃうよ」



〜♪

「はいもしもし」

「あ、所長。犬斗です」

「ああ、犬斗君、どうしたんだい?終わったのかい?」

「いえ、まだです。ただ、至急手配してもらいたいものがあってですね」

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