十四点五本目 秘密のままの方がいいこともあるでしょう
「犬斗君は、その、何者です?」
「え?ただのバイトよ。一番仲良しで話してたのに、知らなかったの?」
「いや、そうじゃなくて。あの最後の方の、いつもとは全然ちがったじゃないですか」
「それは僕も気になったのです」
「さあ?昔なにかあったんじゃないの?何にしたって、どうでもいいでしょ。今は一所員として頑張ってるんだから」
「それは、そうかもしれないですけど」
「何の話してたんですか?」
「あ、犬斗君………」
「水を操るって、どこまでが水なのかなって考えてたのよ」
「あー、なんとなく透明だったり、ですかね。消毒とかして色々溶けてるであろう水道水も操れますからね。僕が水だと思いさえすれば、操れるんじゃないかな」
「え、そんなふわっとした」
「キードは、精神と密接な関係があるという研究結果も出てるし、そんなものよ。私の『穴』だって、壁にしか開けられないから、わざわざ自分の体を、自分の前と後ろを隔てる壁だと意識しているんだもの」
「そんな大変なことしてたのですか」
「このことに気付くのはなかなか苦労したよ。それに精神と関係してたから、あまりに精神力の弱い人では使えないし、極端に強すぎたり高ぶったりしたら暴走し」
「由良さん」
「あ、ごめん」
「いやいや、大丈夫ですよ。それにしても、キードがこんなに奥が深いものだったなんて驚きましたよ」
「ええ、僕もまだまだ勉強が足りないのです。今の話は、これからの捜査に応用できるかもしれないです」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます