第七章
第七章
池本クリニック
杉三と、藤吉郎が、診察が終わって、廊下を移動している。
杉三「あーあ、今日も終わったねえ。しかし、どのくらい待ったら気がすむんだろうか。」
二人、脳神経外科の前を通りかかる。
と、いきなりドアが開いて、一人の若者が出てくる。
藤吉郎「杉ちゃん。」
杉三「えっ、なに?あ、お紫穂ちゃん!」
おもわず、後ろを振り向く紫穂。
紫穂「ぼ、僕のことですか?」
杉三「そうだよ、がり勉のお紫穂ちゃん。」
紫穂「よく覚えてましたね。」
杉三「当たり前だい!あれだけがり勉なら、覚えてるよ。がり勉のお紫穂ちゃん!」
紫穂「お紫穂ちゃんなんて、いわないでくださいよ、女ではないんですから。」
杉三「いや、そのかおと、そのがり勉ぶりは、まるで明治の女学生だ。お紫穂ちゃんと呼ぶのにふさわしい。」
紫穂「そ、そうですか。」
杉三「その通り。今時の高校生ではなく、明治か大正の、女学生にそっくり!」
藤吉郎「どうしたの?」
紫穂「どうしたって何が?」
藤吉郎「体。」
紫穂「いや、ちょっと頭が痛くて、風邪かなあ。」
藤吉郎「違うよ。」
紫穂「違うって何がです?」
藤吉郎「違うよ。」
杉三「お紫穂ちゃん、こいつの前では嘘はつけないぞ。僕も、文字は読めないが、回りを見ればわかる。ここ、重大な病気の人がいくところでしょうが。だって、そこにいる患者さんたちさ、みんなにこにこはしてないよ。ただの風邪くらいで、あんなに悲しそうな顔はするか?勉強はできても、嘘をつくのは、まるで下手なんだね。」
藤吉郎「どうしたの?」
紫穂「そうですね。確かにごまかしはできないです。実は悩んでることがあり、相談にきました。」
藤吉郎「怒られてた。」
紫穂「怒られたって、聞こえてました?」
藤吉郎「はい。」
杉三「馬鹿吉は、耳がいいな。」
藤吉郎「お医者さん。」
杉三「お医者さんなんて?」
藤吉郎「怒鳴ってた。」
杉三「なんて?」
藤吉郎「寿命が、」
杉三「最後までちゃんといえ。丸投げはだめだぞ。」
藤吉郎「縮む。」
紫穂「そこまでお見通しだったんですか。僕、完全に負けちゃいましたね。」
杉三「よし、ここだと、居心地が悪いから、カフェでもいくか!詳しく聞きたいから!」
紫穂「聞いて何になるんです?」
杉三「知らない。でも、僕の性質として、どうしても知りたくなるんだよね。お紫穂ちゃんと一緒で、わからないところは納得するまで聞かないと、気が済まないもんでね。」
紫穂「すごいですね、杉三さんは。」
杉三「杉三さんといういい方はやめてくれ。僕はそんなに偉い奴じゃないし、偉い奴になりたくもないよ。呼ぶんだったら、杉ちゃんと。」
紫穂「ちょっと、抵抗ありますよ。」
杉三「僕、あの学校は、いろんなことを化かしていると思うが、お紫穂ちゃんが一番化けの皮をかぶっているように見える。」
紫穂「そ、そうかもしれませんね。」
杉三「じゃあ、事情を聞かせてもらおうか。カフェスペースに来てくれ。」
紫穂「はい。」
カフェスペースに移動する三人。
カフェスペース。
杉三「まあ、適当に座って。僕らはどうせ、椅子なんか必要ないんだし。」
紫穂「はい。」
側にあった、椅子に座る。
杉三「僕、馬鹿だから、どうせ覚えることもできないだろうから、あえて病名は聞かないけど、結構重大でしょ。あそこから出てきたんだし、馬鹿吉が聞いたところから判断すると。」
紫穂「そうですね。まあ、何れこうなるとは、予測できているようですが。」
杉三「何れこうなる?なんなら、ちょっと聞くけど。」
紫穂「なんでしょう。」
杉三「いずれこうなるってわかってるのなら、なんで勉強という無意味なことに没頭するんだ?そうじゃなくて、もっと自分のために思い出を作ろうとか、そういう風にしないのか?」
紫穂「そういう見方もありますね。確かに、僕ももう、生きる期日が決まってしまっているようなのはしっているので。」
杉三「なるほど。答えが出てない。」
紫穂「いや、わかんないんですよ。正直に言うと。」
杉三「わかんないなら、それにしがみつくことはないと思うけど。」
紫穂「確かに勉強は無意味かもしれないです。でも、面白いなと思うことも事実で。特に僕は歴史がすごく好きで、あと、仏教の勉強もすごく好きなんですね。それがなかったら、僕らの生活もなかったんだろうなと考えるとすごく楽しいんです。」
杉三「それも無意味だってことも知ってる?」
紫穂「はい、知ってます。そうして得た知識も、夢幻になることも。でも、何か得たいということは想うんですね。まあ、仏教的に考えたなら、それも夢幻になるのでしょうが。」
杉三「確かに、庵主様が、不可得という言葉を使って、教えてくれたことがあった。人間には、生老病死のほかに、得られないという苦しみもあるのだと。でも、得られなくても、他人にしてやったことは残る。それが、永遠に生きるということなのだってね。確かにそうだと僕も思うよ。でも、君がしていることはそれには当てはまらないでしょ。ただの、試験で百点を取るための、恐ろしく無駄な作業でしょうが。なんで僕はそれにこだわり続けるのかという意味が分からないと聞いている。」
紫穂「そうですね、、、。でも、僕は、試験ではよい点数を取ったことはさほどないので。」
杉三「へえ、無いんだ!」
紫穂「ええ、ないですよ。特に国語の試験なんか、答えを書いても、正解になったことはほとんどありません。自分なりの意見を書いたつもりなのに、いつも不正解なんです。」
杉三「そうだろう。答えなんて、存在しないのにね。それを無理やり正しい答えしか教えないよね、学校では。お紫穂ちゃんのようなタイプの人は、それをすんなり受け入れるのには、難しいんじゃないの?」
紫穂「そうですね。国語の成績はまるでだめですよ。でも、歴史だけは面白いので。だって、そう選択しなかったら、今の世の中など存在しなかったかもしれないし。ただの暗記科目と言われますが、今の世の中につなげていくと、そういうことかとわかるから、試験だってさほど苦にはなりませんでしたよ。」
杉三「すごいな。本当にがり勉だ。でも、それを他人と共有することはできないよね、お紫穂ちゃん。そんなのばっかりしているから、誰も寄り付かないでしょう。」
紫穂「ああ、それは言えますね。前の学校のときそうでしたよ。」
藤吉郎「それで。」
紫穂「どうしたんです?」
藤吉郎「やめたの?」
紫穂「まあ、そういうことですかね。やめたというか、島流しみたいなものでした。少なくとも、前の学校は、一生懸命勉強すればするほど、はじき出される環境でしたから。」
藤吉郎「そうだね。」
紫穂「はい。確かに、やろうと思えば思うほど、馬鹿にされて、違う方向へ行かされるような気がします。大学というところは、本当に好きな学問ができるところだと聞いたので、それまでは我慢しようと思っているんですが。」
藤吉郎「違うよ。」
紫穂「違うって?」
藤吉郎「違うよ。」
紫穂「何がですか?」
藤吉郎「違うよ。」
紫穂「だから、何がですか?藤吉郎さん。」
杉三「あのね、お紫穂ちゃん、なぜ不可得という言葉ができたのか、考えてみな?少なくとも日本の大学は、お紫穂ちゃんが考えているような場所なんかじゃないからね。それを望むのなら、ドイツのギムナジウムにでも行くしかないじゃないかな。あ、でも、青柳教授の話によれば、ヨーロッパもかなり劣化してしまっているようだけどね。馬鹿吉の、違うよにはそういう意味があるの。」
紫穂「じゃあ、僕はどうしたらいいですかね。」
杉三「潔くあきらめろ。それか、鉄文化のない原住民の世界なら、真剣に勉強しようという人がたくさんいるかもしれないが。」
紫穂「あきらめろって、、、。」
杉三「決して馬鹿にはしてないよ。これはね、本当のことさ。昔だったら学校で習ったことを本当に生かせるかもしれないが、今は、学校は百害あって一利なしなだけさ。だからお紫穂ちゃんが、いくら望んでも、本当に学べるところは全くないんだよ。もし、僕がお紫穂ちゃんみたいに、人生に期日が設けられてしまっているのであれば、そういう事に打ち込むのはやめて、最期に生きててよかったなという思い出を作るかな。そっちのほうを優先するかな。そうやって、無意味な環境にいて、無意味なものを学んでも味気ないだけだもの。」
紫穂「そうかもしれないけど、どうしたらいいのか。」
杉三「お紫穂ちゃんの期日ってどれくらいなの?」
紫穂「わかりません。」
杉三「元服まで持つの?」
紫穂「このままではそれも望めないといわれています。」
杉三「だったらね、寿命が縮むようなことに打ち込むのはやめたほうがいいぞ、お紫穂ちゃん。それきっと、ご家族も悲しんでると思うよ。誰だって、元服前に逝かれるって程悲しいことはないからね、お紫穂ちゃん。これまで一生懸命勉強して、他人の世話を繰り返してきたと思うが、少し、自分にも優しくなったら?」
紫穂「でも、僕、それを取ってしまったら、何もなくなってしまうような気がするので。」
杉三「本当にがり勉だ。お紫穂ちゃんは。例えばさあ、何かに挑戦してみるとか、そういうことをしろ。いいか、社会人になっても、仕事に没頭しすぎて失敗し、かえって人間関係を壊した人はいっぱいいるぞ。お紫穂ちゃんは、家族と仲がいいの?」
紫穂「いえ、衝突してばかりです。」
杉三「そうだと思ったぜ!お紫穂ちゃん。きっと君の家族は、そこまで重大な症状を抱えていれば、勉強どころか、一日でも長く生きてほしいと思うだろう。わざわざ君の寿命を縮めるような行為を勧めることはないと思うぞ。今日な、家に帰ったら、君のお母ちゃんの顔をよく観察しろ。そして、お母ちゃんに、取り残されても大丈夫なような思い出を作らせろ。試験で百点を取ることが、必ずしも生きていた痕跡になるとは限らないぞ。きっと君は家に帰ったらわき目も振らずに勉強しているのだと思うが、お母ちゃんは、君と永久に別れたときに、その画像しかないなんて、本当に悲しがるぞ。」
紫穂「杉三さんは、本当に何でも言うんですね。普通の人なら言わないことまで。」
杉三「当り前だ!本当のこと言わないでどうするの!そうしなきゃ伝えるべきことが伝えられなくなっちゃう!」
紫穂「社交辞令とか、そういうものはないのですか。」
杉三「ありません。本当の気持ちだけで生きてる!」
藤吉郎「すごい。」
杉三「馬鹿吉、お前だって、そうだろう。」
紫穂「そうですか、、、。」
看護師「佐藤さん、まあ、どこへ行ったのかと思ったら、こんなところにいたんですね。今日の診察料、680円です。」
紫穂「ああ、すみません。」
と、カバンの中から財布を取り出して、支払いをする。
看護師「はい。じゃあ、これ、処方箋ね。隣の薬局でもらっていってくださいよ。」
処方箋を渡す看護師。
紫穂「はい、わかりました。次はいつでしたっけ?」
看護師「一応、来週になってるけど、調子が悪いようであれば、いつでも来てって先生が言ってた。電話さえしてくれれば対応するから。」
紫穂「ああ、わかりました。じゃあ、そうなったら電話します。今日は本当にありがとうございました。」
看護師「はい、お大事にどうぞ。」
一礼して、待合室へ戻っていく。
藤吉郎「薬。」
紫穂「はい。」
藤吉郎「たくさん。」
紫穂「あ、ああ、みんな必要な薬だから、必ず飲んでくださいと言われてますから。」
藤吉郎「安い。」
杉三「何が?」
藤吉郎「お金。」
杉三「ああなるほどね。僕もよくわからないが、大量の薬がある割に、診察料が安いわけね。と、言うことはお紫穂ちゃん、何か割り引き制度ある?」
紫穂「お二人にはかないませんね。一応、特定疾患の割引だけは持っています。」
藤吉郎「うんと、」
紫穂「はい。」
藤吉郎「悪いの。」
紫穂「あ、ああ、えーと、もうかかって長いから、自動的に病院側からやれと言われたので手続きしました。」
杉三「つまりこれは、馬鹿吉の言うほうが正しいな。うんと悪くなければ、そういう割引はできないからな。お紫穂ちゃん、家に帰ったら、すぐに母ちゃんと何か思い出を作ることを考えな。でないと、勉強している姿だけを残すことしかできないぞ。机に向かっている姿を遺影にする奴があるかよ。例えば、東大に合格したとかすれば、そういう姿を使うかもしれないが、、、。」
紫穂「今日、先生に大学受験はあきらめろと言われましたよ。」
杉三「ほら!やっぱり!だからこそ、がり勉はやめて、もうちょっとご家族に足跡を残せ。それも終活の一部ってもんだぜ。」
紫穂「杉三さんは、終活の話でもそんなに明るくしゃべるのですか。」
杉三「当り前だい!なんでも明るくしないと、片付く話も片付かないんだよ!まあ、馬鹿だから、明るくしないと理解できないということもあるが。」
紫穂「そうですか。僕も、確かにそうしなければならないなと思いますよ。いつも自分の勉強のほうを優先させちゃうけど。」
杉三「それではいけないぞ。まあ、人間、だれでもそうだけど、いつかは終わる日がくるわけじゃない。それが早いか遅いかの違いだけでさ。でも、本当にある日突然、っていうこともあるよね。ほんとうはさ、そうなってもいいように、毎日終活をしているようなつもりで生きていくのが当り前、くらいに考えたほうがいいよ。そうすることによって、自然に人に対していいことをしようとか、謙虚さを身に着けようということができてくるもんじゃないのか。少なくとも、馬鹿はそう考えている。」
紫穂「すごいですね。どうしてそんなやり方が身に着いたんでしょう?」
杉三「馬鹿だからだよ。それに決まってらあ。」
藤吉郎「仕事。」
紫穂「はい。」
藤吉郎「えらい、」
紫穂「はい。」
藤吉郎「違うよ。」
紫穂「違う?」
藤吉郎「違うよ。」
紫穂「つまり、仕事をいくらやっていても偉い人とは、みなされないということですか。」
杉三「ほら、結論までちゃんと言ってみな。」
藤吉郎「優しい。」
紫穂「はい。」
藤吉郎「残る。」
紫穂「どこにですか?」
藤吉郎「心。」
紫穂「はい。」
藤吉郎「それだけ。」
紫穂「それがどうしたです。」
藤吉郎「動く。」
杉三「よし、よく言ったぜ!今の名言を頭の中にしっかりとたたきこんで、頑張って終活をしてね!」
紫穂「はい、わかりました。何をしていいかわからないですけど、頑張ります。」
杉三「それでよし!お紫穂ちゃんにとって、きっと、就活という言葉は終活になるはずだ。それは誰にも変えることはできないから、与えられた終活を、一生懸命やるのが、恩返しってもんよ!」
紫穂「それにしても、杉三さんは、人が言わないようなセリフを、恥ずかしいとも思わないで、平気でいうんですね。」
杉三「いうさ、言わないでどうするんだ。大事なこと伝えないでどうするんだよ。伝わらないまま逝かれたらもっと最悪だからね。逝っちゃう人より、残された人のほうが、辛いってもんよ。だからみんな言うだろう、あっちへ逝けたからもう楽になるだろうとかさ。それはね、残されたつらさから、解放されるっていう意味でもあるんだぜ!」
紫穂「そうですか。そういうはっきり言われればつらいセリフも、そうやって笑い飛ばして発言してくれたら、楽になる人はたくさんいるのではないですか。なんか、仏法の講座なんかに参加したら、名物になるだろうな。」
杉三「偉い人にはなりたくないし、僕も偉くはなりたくないよ。馬鹿のままでいたい。」
と、病院のメロディー時計が五時を打つ。
紫穂「あ、もう帰らなきゃ。いくらなんでも、僕に何かあったのではないかと心配しますから。」
杉三「えっ、もうそんな時間?わあ、急げ!僕らも帰らないと。」
紫穂「今日はありがとうございました。幸いそう遠くないから、歩いて帰れます。」
杉三「はいよ、終活、頑張りな。何かあったら、相談のるぜ!」
紫穂「はい。」
と、軽く一礼し、病院を出ていく紫穂。それを杉三たちは、見えなくなるまで見守って、二人も、帰り支度を始めた。
道路を歩いている紫穂。また頭痛がしてきたので、五分ほど立ち止まった。その間、杉三が言った通り、終活をしなければならないなと確信した。
再び歩き出したが、頭は痛いままだった。
紫穂の自宅。小さなマンションだが綺麗に整理されていた。
ドアを開けると、母が、台所で何か作っていた。
紫穂「ただいま。」
母親「おかえり。どうだった?」
さすがに、母には終活なんて言えるはずもなかった。
紫穂「いや、特に普通だったよ。」
母親「そう。」
紫穂「ねえ、お母ちゃん。」
母親「何?」
紫穂「明日、学校は休みだからさ、花でも見に行かない?」
母親「馬鹿ねえ。これから寒くなるのに、花なんて咲くわけないでしょうが。」
紫穂「じゃあ、公園の温室とか。」
母親「いったいどうしたの?何かあった?」
紫穂「いや、急に見たくなってさ。」
母親「まあ、どういう風の吹きまわしかしらね。あれだけ、歴史の勉強ばかりしていた子が、、、。」
ここまでいいかけて、彼女も、息子が何を言いたいか、直感的にわかったようである。
母親「いいわよ。行きましょ。」
紫穂「いいの?」
母親「でも、あんまり遠くに行くと、試験勉強に間に合わなくなるだろうから、バラ公園くらいしか行けないけどね。」
紫穂「うん、それで十分さ。」
母親「じゃあ、そうしようか。」
紫穂「よろしく!」
翌日。二人は、バスに乗って、バラ公園に行った。温室は、バラ公園のはずれにあって、熱帯植物を中心に展示していた。
中に入っても、季節的に寒いせいで花はあまり咲いていなかった。あまり人はいなかったから、時には母親のみで、時には紫穂のみで、大きな木の前で写真を撮ったりした。
温室の中に売店があった。紫穂は、そこに売られている土産品の中から、桜の花を埋め込んだ、ガラス製の文鎮を買って、母に渡した。
また、頭痛がした。母も察してくれたので、公園のカフェテリアで一時間ほど休ませてもらった。母は、終始にこやかにしてくれていたけど、心の中ではきっと悲しい思いをしているだろうな、ということが紫穂にも読み取れた。
母は、スマートフォンを出して、何か打ち始めた。
紫穂「誰かにメールでも?」
母親「職場の人よ。あんたは休んでいてくれればいいからね。」
紫穂「そうだね、、、。」
母は何となく心細そうだった。
だから、こういう事をしてよかったのだと紫穂は感じ取った。
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