匂いフェチは遺伝子に乗って

かたかや

匂いフェチは遺伝子に乗って

 人間は遺伝子の乗り物らしい。

 俺の遺伝子は暴走族だ。


「ぶるんぶるん、ばららんばららん」


 荒ぶる遺伝子に俺は乗りこなされている。こいつは女の匂いに敏感なようだ。今すれ違った女の香水の匂いに荒ぶっている。


「やめろ! 出てくるな! うわああああ」


 やつを押さえつけるが駄目だ。心のアクセルを吹かされまくり俺はついにマブい女に跳びかかる。


「きゃあああああああああああああああああああ」


「例えば誰か一人の命と引き換えに世界が救えるとして、僕は誰かが名乗り出るのを待っているだけの男だ」


 例えば誰か一人の命と引き換えに世界が救えるとして、僕は誰かが名乗り出るのを待っているだけの男がナオンの前に立ちふさがった。


「どけえええええ!!! 俺はその女とスパニッシュ・フライをするんだああああああああ!!!!」


 俺の暴走族遺伝子が叫んだ。そんなことさせるものか! 例えば誰か一人の命と引き換えに世界が救えるとして、僕は誰かが名乗り出るのを待っているだけの男が暴走族遺伝子を止めてくれることを期待する。


 しかしよく見ると例えば誰か一人の命と引換えに世界を救えるとして、僕は誰かが名乗り出るのを待っているだけの男が手にしているのは殺傷力の高そうなノコギリであった。


 俺のジョニーが狙われていた。

 たしかにこんな暴走族遺伝子を世の中に残す訳にはいかない。俺ぐらいのイケメンになるとたくさんの女が寄ってくるだろうし切り取るには今が絶妙なタイミングだろう。例えば誰か一人の命と引き換えに世界が救えるとして、僕は誰かが名乗りでるのを待っているだけの男というのもあながち間違いじゃないかもしれない。


「いやだあああああ!! 俺のジョニーを切り取るんじゃない、そんなことをすれば俺はきっと死んでしまう!」


 そう叫んだのは暴走族遺伝子ではなかった。紛れも無く俺自身の言葉。死んでしまう。それが真実だろう?


「例えば誰か一人の命と引き換えに世界を救えるとして、僕は誰かが名乗り出るのを待っているだけの男だ!!!!!!!」


 例えば誰か一人の命と引き換えに世界を救えるとして、僕は誰かが名乗りでるのを待っているだけの男が叫んだ。誰か一人の命って俺の命じゃないか!


「ぎゃああああああああああああああああああああああ」


 俺のジョニーは切り落とされた。それが世界の正解なのだ。シュタインズゲートの選択なのだろう。


 暴走族遺伝子は誰にも受け継がれない。よかった。暴走族は根絶されたんだね。

 そのあと例えば誰か一人の命と引き換えに世界が救えるとして、僕は誰かが名乗り出るのを待っているだけの男と付き合うことになった。ジョニーを切り落とされたからだ。

 やつは言う。でもヒーローになりたい。たった一人、君にとっての。


 ゎたしゎチョーないた。もぅズッとはなさなぃょ。。。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

匂いフェチは遺伝子に乗って かたかや @katakaya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ