第8話 さよなら

幾分家具の減った部屋。

キリの気配の消えた部屋。

あれから3日後の朝、目が覚めるとどうやったのか彼女の荷物は全てを消えて、机の上に置き手紙。

『世話になった』

たった一言だけ。

前に住んでいたらしいアパートに走ったけど、結局キリはそこに住んでいないらしい。

大家のおばさんが興味もなさそうに、実家にでも帰ったんじゃないの、とテレビを見ながら言ったのが、まるで夢の中のことのようだった。

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