第1話《夢に堕ちるのは》
「あれ…ここ、どこだ……?」
見渡す限り見えるのは、不安を煽る暗闇ばかり。
手を通して伝わるのはごつごつした岩壁の感触。
一緒に居たはずの友人たちの姿は見えない。皆先に帰ってしまったのだろうか?
それにしても……
何処までも深い闇だ。気を抜けば闇に喰われてしまいそうな程に、深い──…。
止まる訳にもいかず、ただただ先の見えない闇の中を進んでいる──と思いたい──と、不意に耳に一つの歌が聴こえてきた。誰も居なさそうなこの暗闇に、自分以外の誰かが居るのだろうか?
何処か不思議な旋律のその歌は、だんだん近付いてるような、それでいてまだまだ遠いような、不思議な感覚を俺にもたらした。
「夢の迷い子、『穴』に落ちたり。
「ゆめ、つ…げ……?」
その歌に疑問を持って声に漏れた瞬間、辺りが眩いほどの光に覆われた。
「うわ……ッ…!?」
光に目を潰されて闇に居た時と別の意味で前が見えない。
それに何処か足元が不安定だし……!?
足元が不安定なのは、当たり前といえば当たり前だった。
何故なら──
俺は賑わった街を目掛けて空から落ちていたのだから。
「あー……」
これは、
そう思って意識が暗転した。
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