第五話

       第二章


 宇宙間戦争が勃発した。

 きようこうまた五次元宇宙から宇宙間弾道弾が発射できる軌道を確保するまで十三時間。ミサイル・サイロの設置された惑星の自転がおよそ十三時間だからだ。ちらの地球上から十三時間以内にエントロピー飽和弾頭をそうてんした宇宙間弾道弾を発射できれば〈勝ち〉だ。といえども五次元宇宙から四次元宇宙の量子論的物理現象を観測するのは容易だろう。きゆうていたいりよの第一発目の宇宙間弾道弾がようそく阻止されたとなれば第二波の攻撃はていげんされるがおそらく地球上へのちよくせつの侵略だ。ちらのミサイル・サイロの破壊が目的かもしれないし第二波そのもので全人類をおうさつすることが目的かもしれない。そくどおりにぼうばくたる地球上ではほうはいたる〈戦闘〉が勃発した。〈研究所〉の観測では膜宇宙レベルで地球上と隣接している五次元宇宙内の基地から巨億の戦闘用端末がちんにゆうしてきたらしい。ほうはくたる地球上の津津浦浦にてけつけつたるワームホールが確認され端末は侵入してきた。全長五メートル程度の十字架のような白銀の四次元立方体のふうぼうをした戦闘機は〈なにも〉してこなかった。唯一日本列島内のミサイル・サイロを目指してこうしようしているらしいと確認されただけだ。やくやく世界中の国防機関がじゆつてきそくいんしていんの四次元立方体戦闘機を攻撃しはじめた。そもそもなにもしてこないのだ。なんらかの攻撃手段は存在するかもしれないがそうめつは容易かとおもわれた。じゆんこうかいの日本の防衛省からぎようこんだく国防総省まで総動員されて四次元立方体戦闘機のせんめつにあたった。である。きようりようなる一〇式戦車で攻撃した自衛隊員やB-2爆撃機で攻撃した米兵などの軍人たちがとうをかきむしってへいしていった。で四次元立方体戦闘機の〈攻撃〉手段がめいちようとされる。おそらくけいじようがく的攻撃により生命体の神経回路をしようしてさつりくするのだ。しんほのおうつぼつたる海軍が無人爆撃機を投入したが無人爆撃機を操縦している本土の兵士がり狂死した。くりの四次元立方体戦闘機は〈なにもしなくても〉人間をころせるのであった。もうまいなる世界各国の軍事機関はそれでもようげきをつづけて全滅したりぼうぎよしんしようたんしながらなしくずしに無力化したりしていった。 

 人類に勝機はなかった。

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