　唯一無二〈二次元宇宙〉のちからを抛（ほう）擲（てき）してはである。我我人類はゆめをみてきた。鬼（き）哭（こく）啾（しゆう）啾（しゆう）たる戦後ディズニー映画が輸入されると蓴（じゆん）羹（こう）鱸（ろ）膾（かい）の日本国内でもアニメーション藝（げい）術（じゆつ）が擡（たい）頭（とう）してきた。神聖冒（ぼう）瀆（とく）すべからざる手塚治虫監督を萌（ほう）蘖（げつ）として大友克洋監督を劈（へき）頭（とう）とするジャパニメーションや庵（あん）野（の）秀明監督を肇（ちよう）始（し）とする国民的アニメが制作されてきた。這（しや）般（はん）のアニメはカラビ・ヤウ多様体から発生する膜宇宙のなかに〈実在〉した。恁（いん）麼（も）の二次元宇宙と四次元宇宙を関（かん）聯（れん）させるのが〈どこでもドア〉計（けい）劃（かく）であった。いま〈どこでもドア〉は開放された。磅（ほう）礴（はく）たる地球上の各地でみなは確認された。華（わ）盛（しん）頓（とん）D.C.では鉄人２８号が梟（きよう）猛（もう）なる腕力で四次元立方体戦闘機を羅（ら）利（り）粉（こつ）灰（ぱい）にした。倫（ろん）敦（どん）ではガンダムRX-78を筆頭とするZガンダムやZZガンダムたちガンダム・フレームがビームライフルやビームサーベルで四次元立方体戦闘機を撃破していった。伯（べる）林（りん）では巨神兵が魁（かい）偉（い）なる口（こう）腔（こう）からビームを発射して王（おう）蟲（む）を薙（なぎ）払（はら）うように四次元立方体戦闘機を殲（せん）滅（めつ）する。巴（ぱ）黎（り）では変容した巨大なる島鉄雄が極彩色の臓（ぞう）腑（ふ）を拡張させて四次元立方体戦闘機を喰（く）らってゆく。阿（あ）弗（ふ）利（り）加（か）や東南亜（あ）細（じ）亜（あ）でもエイトマンやガッチャマンが疾風迅雷狂（きよう）瀾（らん）怒（ど）濤（とう）の勢力で四次元立方体戦闘機を勦（そう）滅（めつ）していった。東京ではエヴァンゲリオン初号機がATフィールドで形（けい）而（じ）上（じよう）学（がく）的攻撃を壅（よう）塞（そく）阻止している間隙にエヴァンゲリオン弐号機がビースト・モードで四次元立方体戦闘機を滅（めつ）多（た）斬（ぎ）りにしてゆく。と雖（いえど）も多勢に無勢である。五十億軆は翺（こう）翔（しよう）している四次元立方体戦闘機は軈（やが）て無（む）辜（こ）の黔（けん）黎（れい）までをも狂死させてゆく。巨億の人類は脳髄から脊椎への神経回路の激痛に敗（はい）衄（じく）して頭（とう）顱（ろ）をかきみだしながら斃（へい）仆（ふ）してゆく。なにゆゑか四次元立方体戦闘機は穹（きゆう）窿（りゆう）に上昇するほど形（けい）而（じ）上（じよう）学（がく）的攻撃の威力を増幅させてゆくようだ。恁（いん）麼（も）の〈すき〉をねらってひかりが明滅した。大気圏外から宇宙戦艦ヤマトが波動砲を発射し連邦軍のソーラレイ・システムが光線をひらめかせたらしい。斯（か）様（よう）にして地球上の四次元立方体戦闘機の八割方は殲（せん）滅（めつ）された。