第三話

 ひんしゆくしたように事務次官等がかいわいへいげいするなか襤褸ぼろ襤褸ぼろのスーツからiPhoneを掌握する。〈研究所〉からのれんらくだ。しやがんしている事務次官等をひんせきするように電話にでる。所員いわく〈銀河系内に計算外のシュヴァルツシルト半径が確認されました五次元宇宙から構築されたアインシュタイン-ローゼンブリッジとおもわれます攻撃開始ではないかと〉と。いんの内容を事務次官等にでんすると防衛事務次官がためいきしてしようじゆする。〈自衛隊に要請でもするのかい〉と。せいかくいちゆうして会議室からとんざんせんとしながらこたえる。〈世界中の軍事力を総動員しても無駄でしょう〉と。陰陰滅滅たる雰囲気の会議室からくりげると首相官邸まえのトヨタ2000GTに搭乗してばくしんする。れきろくたるトヨタ2000GTを疾駆させて〈研究所〉にほうちやくするとかいなる研究室にてひやつりようらんの頭脳たちがけんけんごうごうかんかんがくがくと議論していた。ほうちやくに勘附くとみながちらへいげいしてそうぎようぼうする。〈アインシュタイン-ローゼンブリッジから五次元宇宙の攻撃要因は確認できますか〉ときくと所員のひとりがこたえる。〈衛星電波天文台から譲渡された画像を解析していますがアインシュタイン-ローゼンブリッジの中央かいわいに人工惑星が確認され惑星上に宇宙間弾道弾規模の弾道弾を発射できるミサイル・サイロが設備されている模様です〉と。〈いんのミサイルの軌道が地球上と交差するまでの惑星の自転時間はどれくらいですか〉ときくと所員は〈むこうは五次元空間ですがちらの四次元空間の物理法則が浸潤している領域とこうかくすると一周の自転におよそ十三時間つぎにサイロが地球への軌道を確保するまでに九分とおもわれます〉とこたえる。うつぼつたる焦燥感にひようされながら沈思黙考してする。〈おそらく五次元宇宙側の攻撃は幾度かの階層をなしてくるとおもわれるが第一にいんの宇宙間弾道弾の発射ようそく阻止あるいは発射きようこうようげきを最優先事項とせねばならない九分以内にちらからも宇宙間弾道弾をセットして発射します〉と。顔面そうはくでひとりの所員がほうこうする。〈JAXAが管理している宇宙間弾道弾にエントロピー飽和弾頭を設置するまでに二分ミサイル・サイロからの軌道がいんの惑星に交差するまで十二時間二十四分かかります〉と。

 絶望的なる状況だった。

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