第二話

 きようあいなる会議室にはしようしやなるテーブルが設置され文字通り事務次官等の官僚がさんそうしている。次官連絡会議ひつきよう旧事務次官等会議だ。くりの東日本大震災に前後してるいじやく化したが実質上日本政府をろうらくしている黒幕である。たる議長の内閣官房副長官はゆめうつつとして沈黙しつづけている。かいわいの事務次官等もどろんでいるわけではないがせいひつとしている。唯一防衛事務次官だけはきようてんしたようにほうはつくしけずって焦燥感うつぼつたるがんぼうをしていた。いわく〈つまりだ五次元の宇宙とやらから宇宙人というのか異界人というのかが地球を攻撃するからあの玩具おもちや――なんとかのドアでしたっけ――に防衛予算の十%をさいてくれというのかね〉と。ぼうとして発汗しながらこたえる。〈宇宙人とか異界人といっていいのかわかりません前述のとおり被メタ領域からメタ領域をかんすることはできないのですといえどちらの宇宙にかんれんできるのならば五次元宇宙にも一定の物理法則が成立するはずで宇宙間弾道弾により半径一千億光年の宇宙を熱力学的死においやる特殊なる弾頭をこうしようさせればなんとかなるのではないかいんけいかくのために防衛予算の十二%を――〉と。いんぎんれいなるがんぼうの文部科学事務次官がさえぎる。〈そもそも五次元宇宙からの攻撃があるとしてなにゆゑに五次元星人というやつらはちらの宇宙を攻撃するのか〉と。ぜんたる態度でこたえねばならない。〈おそらく五次元宇宙ではプランク単位で時間のながれが湾曲していますちらの宇宙で百三十八億年と計算される宇宙の歳月のなかで五次元宇宙ではすいよりノイマン型コンピューターの技術的特異点が到来しているはずなのですゴッド・ライク・マシンとなったコンピューターに計算させれば五次元宇宙の全領域もエントロピーの加速度をりようして古今東西まで再現できます五次元宇宙の知的存在はすでにいんの電脳宇宙に移住しているのでしょう永遠の生命を獲得しているわけですといえども電脳空間を演算しているサーバーやクラウド・サーバーたいほうする五次元宇宙そのものが熱力学的死やビッグクランチをむかえては刹那に五次元宇宙の知的存在もせんめつされますなんらかのかたちで電脳空間を演算するサーバー群をほかの宇宙に移植しなければならないのですいんの目標がきつちらの四次元宇宙かとこうかくされるわけです〉と。

 またせいひつとした会議場に電子音がめく。

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