第18話「俺は自分のやりたい事を勘違いしていた」

 近況報告、ブラックバイトから最後の給料が振り込まれました。

 これで無事に縁が切れて、安心しました。良かったです。


 さて本題。小説を書くことの意味について、自分は重大な勘違いをしていました。


 なんで小説を書いてみようと思ったかと言いますと、大学時代に模擬裁判に参加したからです。

 模擬裁判の脚本を担当しまして、結構長い会話文を書いて、完成したら楽しかった。

 だから小説を書いてみようと思いました。


 読者諸氏は「それの何が問題なの?」と思われるでしょう。

 自分でも模擬裁判の脚本を書く作業と、小説を書く作業の違いを理解していませんでした。


 ずばり申しますと、模擬裁判は複数人で作るもので、小説は一人で作るものなのです。

 そこの認識がずれていました。


 模擬裁判はキャラクターの受ける判決というゴールに向けて、正解のある意見を出し合って行きます。

 そこには六法全書というルールブックがありますし、過去の判例や先生方の監修があって、正解のあるゴールにたどり着くことができます。


「お前の脚本よかったよ、俺らの意見をきちんと反映してくれた」


 自分は、その感謝の言葉にやりがいを見出していました。

 しかし、知らず知らずのうちに、人に頼られることを目的にしていたのです。


 小説を書くにあたり、自分がまずやったことは「友人・知人の意見を求める」ことでした。

 そして集まった意見を出来る限り反映させた作品を夢見たわけです。

 みんなに「俺らの意見を反映してくれてありがとう」と言われるために。


 もうちょっと小説よりの言葉を使うと、無限に三題噺のお題を集めていたわけですね。

「さんだいばなし」というのは、もらったテーマで即興の物語を作る遊びのことです。有名どころでは落語に「芝浜」という作品があります。


 そうしたらもう、自分の意見が反映できないわ、話はまとまらないわ、友人に「お前は何が書きたいんだ?」って聞かれるわ……

 友人に叱られ、逆切れし、喧嘩し、ようやく気付きました。

 小説のゴールに正解は無く、道順を決めるのは自分のエゴで行わねばならないと。


「こんなに引っ張って、そんな当然のことを言いたかったの?」と思われるでしょう。

 でも自分にとっては大切なことだったんです。


 模擬裁判の脚本作りは、それは楽しい作業でした。

 誰かに必要だと言われ、同時に自分の能力を認めてもらう、こんな快楽がありますか?


 でも、それは違う局面で設定するべきゴールです。

 今やるべきことは「本当に小説を書き続けたいのか?」そして「本当に書きたいことがあるのか?」という問いかけを、真摯に自分に問いかけることです。


 実際、書きかけで放り出してる作品がカクヨムにもありますし……

 書ききるか、削除するか、打ち切りエンドにするか、なんらかの決着をつけないとマズイなあと思う次第なわけであります。


 今日はこの辺で終わります。

 何かしらの執筆活動を続けていく予定でいますが、自分の心の正体に気づいてしまい、なんだか心が折れそうになっています。


 みんな! 承認欲求をこじらせるのは、ほどほどにな!

 おじさんと約束だ!

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