美少女なお姫様をやることにしましたー3
その後、姫君としての作法や仕草など──リノル直伝『
たった五センチほどのヒールを
アドルが高いヒールを履くと本物のリノルアースと身長がズレてしまうので、結果的には
(女の人は
コルセットで締め付けられ、足があんなに痛くなる靴を履いて女性たちはその苦労を
血のにじむような特訓を終え、アドルがこうしてスフェラ国にやってくる
本物のリノルが完璧な淑女とは言い
なんといっても外交でやってきているのだから、本物のように
もちろんハウゼンランド国から連れてきた侍女や外交官たちも、アドルが女装していることは知っている。試練を提示してきた元老院にも、
(まさか本気で女装するのかよって顔を
元老院の大半が何を考えているんだ、というような顔をしていた。しかしヴァイゼルがほほほ、と楽しげに笑って頷いたのだ。
『まぁ、よかろ。どのような手段を用いたとしても、成果が
最長老である彼の発言力は高い。結果的に、
スフェラ王カルヴァへの
アドルは
晩餐の席にはもちろんスフェラ王がいるので、アドルは油断できるはずもない。
南国の料理はスパイスが効いているものが多いが、アドルは
「リノルアース姫は
「まぁ、ありがとうございます」
聞き慣れてきた賛美にも、にっこりと
晩餐の席にはカルヴァのほか、それぞれの国の外交官がいる。レイは護衛としてそばに
「姫と
「ふふ、わたしの騎士は
レイが
リノルアース姫の訪問は、招待を受けたうえでの外遊ということになっている。
(……だけど姫を招待するってことは下心はありそう)
リノルもわかっていたのだろう。万が一スフェラ王から口説かれたら
「へ、陛下、あんまり飲みすぎないでくださいよ?」
「うるさいぞ、モルテ。せっかくの食事がまずくなるではないか」
とはいえ
カルヴァがどれだけ酒を飲もうがかまわないが、
(
どうにか早く部屋に
酒の力もあってだろうか、カルヴァが上機嫌にアドルを見て口を開いた。
「ところで姫、このあと庭でも散策しませんか? ちょうど今日は月が綺麗に見えますよ」
「──え?」
このあと、というと、あとはもう
常識的に考えて、そんな時間に
何言っているんだこいつは?
「へへへへ陛下!? それはちょっとどうかと思いますよ!?」
「うるさいぞモルテ」
「も、申し訳ありません! えっいやでもあのですね!?」
スフェラ国においても非常識なお
「大変申し訳ありませんが、我が姫は慣れない異国で
どうすべきか
「それもそうだな、いやしかしこのようにうつくしい
「そんな……」
流れるような褒め言葉に、アドルは照れたように目を伏せた。
(よくもまぁ、そんなにすらすらと口説き文句が
「残念だが、それはまたの機会に」
またの機会なんてねぇぞ、とアドルは心のなかで毒を
女好き、というのは
その後は当たり
「あれってどうなんだ? やっぱり噂通りの王ってことか?」
「どうでしょうね。女好きというのは真実だとして、政治的な
カルヴァは王位につく際に悪政を
「まぁ、ただの女好きにはできないよなぁ」
「古来より英雄色を好むと言いますしね」
「俺、あんまりそういうの好きじゃない」
「そうなんですか?」
きょとん、とした顔のレイに、アドルは
「そうなんですかって……好きな人が一人、そばにいてくれれば十分だろ」
どんなにたくさんの美女に取り囲まれていたとしても、本当に愛している一人からの愛を得られなければ意味がない。そんなの、むなしいだけだ。
ただ一人、愛している人がそばにいてくれればそれだけで心は満たされる。
ぼそりと小さく
「何かおっしゃいました?」
聞こえていてもよかったような、いや聞かれていなくてよかったような──複雑な気持ちになりながらアドルは
「……なんでもない」
なんでもないということに、しておく。
本当は、まるでアドルを
「レイのおかげでどうにか今夜は
「そうですね、そもそもスフェラ王と
「ぐ。そうなんだよな……」
このまま
だがやはり、リノルアース姫として男と話すのは疲れる。向こうはうつくしいだの
「やはりスフェラ国の海産物はハウゼンランドでは
ハウゼンランド国は内陸にある国だ。この
それはそれだけ、学べることが多いということだ。
学んだものは、アドルの
「で、どうやってスフェラ王を
夜は少し
「……
「それやるの俺だよな? 俺がやるんだよな?」
真顔で提案してくるレイに、思わずアドルは顔を引き
「やりすぎて男だとバレないようにしてくださいね?」
「やらねぇよ!!」
何が悲しくて男相手に色仕掛けなんてしなきゃいけないのか!
半泣きで否定するアドルにレイは苦笑した。
「……まぁ冗談ですけど」
冗談でもやめてほしい、とアドルはため息を吐き出す。いやしかし、必要とあれば
「
予定表を
「それなら明日は、そこらへんに
「興味がある、くらいにしておいていいと思いますよ。あまり積極的なのはリノル様の
重要
手段を選んでいる
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