第25話 制服

 緊張の面持ちでクロードは小奇麗にされて立っていた。

 私に気がつくと、クロードの顔が一瞬ほころびすぐに悲しい顔になる。この顔をさせたのは私だ。

 私が無知で同時にクロードの拒絶を無視してきたせいなのだ。

「クロード。お父様と話をしなければいけません。その話し合いにはあなたも絶対に必要です。一緒に来てくれる?」

 私がクロードに手を差し出すと、クロードの手が震えながら私の手に重なる。屋敷の中をそのまま歩く。

 メイドや従者が私達を見るが何も言わない。


 そのまま私は進む、父の公務室へと。

 ノックを3回して返事を待つ。

「入りなさい」

 扉は私が開けずとも中に控えている従者が開けてくれた。


 最初に口を開いたのは父だった。

「アイリス。お前は学園を卒業したらこの家を出なさい、番を解消できないということはそういうことだ」

「寛容な処遇ありがとうございます」

 もともと跡取りはお兄様、クロードと番にならなくても私はいずれ家を嫁ぐ形で出ることとなる。時がどれくらいせいぜい早くなったかどうかだ。

「さて、アイリスいったん退出しなさい。私はクロードと話すことがある」

「お父様、悪いのは拒絶していたのを無理強いしていた私です」

「退出なさい」

 迫力に負けて私は部屋をでざるを得なかった。



「クロード、私は番の解消を諦めていない。殺さないのは、お前が赤の陣でよばれたのが周知の事実となっているからに他ならない。あんな葉っぱだらけの部屋で喜んでいる娘が王族と結婚し、いずれ国母となるなど性格的にも難しいだろうことは父として解っている。ただ、アイリスは白の陣でよばれた、色代わりの陣はとても珍しくそれだけ娘が貴重な力を持っている可能性があり。今後誰かの庇護がいることが陣でよばれたことで決まったのだ。だからこそ、社交界に連れ出してないアイリスにジュリアス様との縁談が持ち上がった。娘に危害を加えるのを少しでも減らすという目的でもあったから、私は返答に悩んでいた。番うことで、アイリスは最大の庇護を得られなくなった。その意味を学園でアイリスを守ることで知るといい。娘に何かあったらお前の呼ばれた陣の色など関係ない」

「わかりました」







 番は解消されることなく、クロードも処分されることなく。私達は学園に行くこととなった。

 クロードに関しては、時間を置いて考えてみると、やはり赤の陣で呼ばれたからこそ父は処分したくても処分できなかったのかもしれない。

 それにしても、いよいよ始まるゲーム本編である学園生活。もうすぐ寮生活になる。長くいた家を離れるのは少しさびしい。

 フランはアランと共に付いてきてくれることになった。




◆◇◆◇



 寮の部屋は豪華だった。学園生活の始まりに緊張しながら身支度をしていく。制服を着なければとみて私は固まった。

 制服は、ヒロインをはじめとして青の陣で呼ばれた者は青色。赤の陣で呼ばれた主要人物の大半は赤の制服だったんだけど。


「うそ……」

 私の制服は全く同じデザインだけど色が白なのだ。

 確かに思い返してみれば私は白い陣で呼ばれたと思う。でも、赤の陣の人達と同じように話をきいていたから同じように赤の制服だとなんとなく思っていた。

 まさか、自分だけ白になるだなんて誰が想像しただろうか。

「きっとお似合いになられると思います」

 フランはそう言ったけれど、違うの私が気にしてることは色が皆と違うことで制服が似合うか似合わないかじゃないのよ。


 制服に袖を通してみて、鏡で見てみる。私単体では普通だけれど……。

 外に出たらやっぱり浮いた。

 思いっきり浮いている。


「アイリス似合う」

 クロードもそう言ってくるけれど、そういう問題じゃない。

 だって、青ばかりの中に赤色の制服がポツポツだったのに、そこに私だけが白色の制服なんだもの。

 歩くだけで目立つ。目立つわ……誰このシステム考えたの。それに白ってめちゃくちゃ汚れ目立つからご飯食べるのも気をつけなきゃいけないし。



 青の制服の中で赤の制服の生徒が目立つのはいつものことだった。

 ただ、今年は違う。遠巻きに白の制服をきた私を生徒たちが見守る。

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