第12話 クロード

 クエスト ※街道の簒奪者 クリア


 街道で馬車を襲うものあり。

 荷馬車に偽装する簒奪者達から街道の平和を守れ。



 クリアボーナス

 アイリス・フォン・コーネリアス 経験値10

 ヒールによる癒しによるヒーラーポイント3


 戦利品 クロード


 クリア条件 簒奪者の捕縛or殺害


 *達成時期によりシナリオが大幅に変わります。



 クリア画面をさっと流し読みしたけれど。経験値10って…、レベルも上がらなかった。本当にレベル上げはうまくいかない。


 ヒーラーポイントってなんだよと思うがここは流す。

 戦利品 クロード…聞き捨てならない単語である。でも心当たりがある名前である。確かに黒い耳としっぽを持っていた。


 私の腕の中に抱かれているモフモフしてるこれがおそらく……いや……先ほど女性も呼んでいたし攻略対象であるクロードなのだろうか。

 そっと持ち上げてみる。私のことをじーっとみてくる、ぱっちりとしたおめめが何とも美人さんである。美猫ならぬ、美豹。

 抱っこしてる間はついつい、頭をなでてしまっていたし。

 お腹の毛並みもよさそうだ。



「あっ、こいつ雄だ」

 私がそういうと、ミャオミャオ大暴れしだしたのだ。

 だってしょうがないじゃん出てるんだもん、猫や犬のを見たのと同じ気分ではあるが、この子は怒っている。

 私の腕から逃れると、毛を逆立ててミャオミャオではなくグルルルルと唸っている。


「ごめんね、怒らないで」

 しばらくすると、行くあてもないのか私のところにきたから抱き上げなでる。



 女性は魔術師だったようだ。

 そのため自らの細胞を活性化したことで、私のヒールでも大幅な回復ができたようだ。

 しかし、その代償は命はとりとめたが大きかったようで、当分は療養が必要となり、治療費もかかる。

 私が気に入りずっとなでなでしたり、餌を与えて可愛がっていることもあり。

 一応、小さくても爪もキバもある獣人で歳も私と近いとのことなので将来の娘の護衛候補ということで小さいながらも従者見習いとしてうちに引き取ることで治療費との折り合いをつけるということになった。



「お母さんのことは心配することないよ。ただ、治療費は我が家が持つ。そのかわり娘を頼むよ。獣人は魔力がなくても私たちよりずっと強いからね。君が今度は娘を守り助ける番だよ」

 そういって、父もクロードの頭のモフモフを堪能していた。

 ホンの少しなでるつもりだったのだろうけれど、父もモフモフの虜となり、私が抱っこしてる状態でわりと長めに撫でていた。


 その後、クロードは母親と二人で話してきたようだ。

 何を話してきたのかはわからないけれど。

 我が家にモフモフが1匹増えることが確定した。




「お母さんが元気になるまでよろしくね」

 挨拶するとゴロゴロと喉がなった。

 クロードは自分が奉公して母の治療費を払うこととなったのだ。



 もふもふで可愛い。

 私は自分の部屋に抱っこして連れてきた。

「ここが私の部屋なのよ 」

 葉っぱやら怪しげな液体だらけの私の部屋である。

「どれも私にとってとても大事なものだからね。これは痛みを和らげる葉っぱでしょ、こっちは足が早くなるのよ!」

 私の話を大人しく聞いてくれている。

 それにしても見事な毛並みだ。


 あぁ、もっと触りたい。

「ちょっとだけ、ちょっとだけ、もふもふさせてね」

 私はそういって、思いっきり顔を埋めた。

「ヤバい滑らか、ふわふわ、私ネコ好きだったわ。可愛いー」

 ツメも出さないし、噛みつきもしない。

「おりこうね、おりこうね」

 私はもふもふを続行する、どことなく困っていたようだけど一応は命の恩人だと思ってるのか大人しい。

 こんなご乱心しようものなら、爪で引っかかれたり逃げられてもおかしくないのだけれど、そこは獣人。

 完全なる獣ではないからこそ、嫌でも耐えることができるのだ。



 癒された。

 すごく癒されてしまった。



 クロードは我が家の人気者となった。

 あの容姿で、絶対引っ掻かない、噛みつかないとくればなでたくなるのは仕方のないことである。

 しかし、いろんな人に好き勝手に撫でられたくないらしくクロードは逃げる姿がよく目撃された。

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