第9話 そんなに上手くいかない。

 ポーンという音がする。

 クエスト スライムの大量発生を止めろ クリア


 なんてことだ、農村にスライムが現れた。

 やつらは分裂してとにかく増える。

 大量発生が起こる前に原因を突き止め対処せよ。



 クリアボーナス

 アイリス・フォン・コーネリアス スライム討伐法の伝授 経験値120

 コーネリアス領でのスライム大量発生の大幅抑制。

 穀物、畜産物減少量が減る。

 スライムを倒した戦利品である、スライムの粘液の販売が大きく緩和されます。


 クリア条件 スライムの大量発生はなぜ起こるのか付きとめ、討伐せよ。

 スライムを討伐に成功した場合、今回の大量発生は起こらない。

 なお、村人ににスライムの討伐方法を教えた場合、今後のスライム大量発生が起こる確率が0.1%以下となり街道への移動の安全度が増します。

 教えなかった場合、3カ月に1回スライム討伐に駆り出されるようになります。




 ヤバいのきてた・・、何3カ月に1度借りだされるはめになるやつって・・・。

 それに、倒した個数すべてから経験値をもらえるわけではないらしい。

 私が倒せるくらいだからそれはもう小さいのばかりだったのもよくなかったのかも。



 さて、ここが大事ステータス画面だ。



 アイリス・フォン・コーネリアス


 Lv5


 HP50/85


 MP9/9


 あれれ・・・・HPは前回と同じくらいレベル1あたり上昇してるけれど。

 MPがたった3しか増えてない・・。

 いや、目標が100だから今回ので達成とまでは思っていなかったけれど。

 二桁行かなかったの?

 いや、ポジティブに考えると9あればMP全快で回復魔法が1回使えるじゃないの。

 大きな一歩一歩だわ・・。

 となんとか自分に暗示をかけるけれど。

 前回MPがてっきり2倍になった・・いや少なくとも3増えたのだから、レベル3上がる×3=9・・・以前のMPが6だから。

 6+9=15にはなっているかと思ったのに甘かった・・・・・。

 アイリスは魔法には全く特化していないのだろう。


 これ、学園に入った後すごく苦労しそう・・。

 今の間に座学も進めておいてそちらでなるだけ点数を稼がないといけないだろう。


 やっぱり予定通りいかないことが悔しい。

 くそぅ……、思わず苦虫をかみつぶしたような顔となってしまう。

「あの………お嬢さま」

 町民の一人が私に話しかけてくる。

 目の前には僅かばかりのスライムを討伐した金とアイテム・・。

 私はそこにズカズカといく。



 お金の入った袋私は開ける。

 銅貨ばかりが200枚はあるだろうか。

「後で枚数を数えて報告してちょうだい。お金は皆で何かおいしいものでも食べなさい。このドロップのアイテムは私がもらっていきます。次からスライムが出た時は皆問題ないですね。次からも、倒したお金で皆で食べ物を買ったり、街のための道具を買ったり好きになさい。ただ、何匹ぐらいでてお金がこれくらい手に入ったかっていうのは必ず報告するように。これも今回は私がもらっていきますが、売って自分たちのものとしてもいいでしょう」

 私はスライムの粘液がはいった袋を手に入れた。


 これは、たしかゼラチンの代わりになるから、ゼリーが食べれるわね。

 魔物の素材はおいしいのかしら実験だわ。


 町民たちは、まさかのお金を自分たちにということでホクホク顔である。

 最後の最後まで私たちに深々と頭をさげ見送りまでしてくれた。

 間違いなく、アイリスの好感度が上がったことだろう。


 スライムの大量発生を止めろというクエストがでただけあり、それから定期的にスライムが出ました、倒しました、銅貨○○枚 スライムの粘液の袋○個といった風な報告が来るようになった。

 手紙がくるかな……と思ったいたけれど、紙はまだ高級品らしく、村の若い男が伝令とついでに、スライム討伐報酬の粘液を街に売りにきて、討伐報酬と合わせた額で僅かばかりの酒とパンなど買いに来ているようだ。

 ホクホク顔なところを見るとスライムの発生は街にとってちょっとしたいいものを食べれるお祭り状態のようだ。


 粘液は私へのスライム報告のついでに近場で売られるらしく、その後定期的に家の近所の露天で販売されるようになった。


 スライムの粘液で作ったゼリーはたいそうおいしかった。

 温度によって、硬さが異なるため、季節によって違う食感が味わえる。

 私は思わぬ副産物をおいしくいただくのであった。


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