第6話 暴れ馬を止めろ

 ポンっと変な音が鳴ったから、私はフランを横目にステータスを開いた。

 するとどうでしょう。


 クエスト 暴れ馬を止めろ クリア

 と書かれているでは有りませんか。



 それをさりげなーく触ると詳細がでてきた。


 クエスト 暴れ馬を止めろ クリア

 街中で馬がとんできた布切れに驚き暴れ出してしまった。

 このままでは、町民に被害がでてしまうだろう。


 クリアボーナス

 実行 アラン 経験値10 新しい職へのきっかけ

 参謀 アイリス・フォン・コーネリアス 経験値30 優秀な部下を手に入れるチャンス


 クリア条件 馬を切り捨てることなく、被害も一人も出さずこの場を終息せよ。

*馬を切り捨てた場合、町民に被害はでないが、馬の手綱を放してしまった雇われの男が馬の弁償という莫大な負担を強いられひと月後、胸糞悪いことになります。



 危な…………危な……。

 何よ胸糞悪いことになるって……。

 確かに馬は高級品だし、手綱を放してしまったのが馬の持ち主ではなく、雇われていただけの人だとすれば馬の弁償となれば莫大だ。


 レベルが2にあがっている。



 アイリス・フォン・コーネリアス

 Lv2

 HP30/45

 MP6/6


 MPが3から6になっている。

 たったの3ぽっちだけれど、大きな進歩である。

 目標の100まで、後94となった。

 パーティー扱いだったのか、私が一服もったことが何か考慮されたのかどっちなのかは分からないけれど、経験値がはいってレベルが上がったわ私。



 フランは冒険者の男アランを私の自室に連れてきた。

「さて、まずはアランさん、あなたは魔法の適正については申告されていませんでしたよね?」

「はい。あんなに早く走れたこと自体これまでありません。加護を得たのかもしれませんが、詳細は教会で鑑定していただかないことにはわからないと思います。」


「次にお嬢さま……。先日とても早く走っていた時がございましたが。今回のことに何か御心あたりは?」

「えっ……と。」

「お心当たりは?」

 フランはニッコリと笑う、それが一層怖い。

 フランは、すでに先日の私の足が速くなったことと、今回のことをバッチリと結びつけている。

「はい……。ございます。」


「とりあえず彼はどうされます?」

 フランがにっこりと笑顔を浮かべたまま私に問いかける。

 アランはなんだかただ事ではない雰囲気を察知しているのか不安そうな顔で私のほうをみる。


「彼がよろしければ、私付きの護衛になれればいいなと思います。彼も仕事を探されてるような気が強ーーーくいたしますし」

「予算はどうなさるおつもりですか?」

「父に私からお願いして、おいおいは自分で何とかいたします」

「このことは上に報告してもよろしいですか?」

 よろしいわけがない。

 フランも、私に一応お伺えをたててる姿勢だけれど、これは報告しますがよろしいですね?という最終確認のようなものだ。

 せっかく手に入れた自分だけのチャンスアップを公開するようなことになれば……私は学園入学のチャンスを失うかもしれない。


「フラン、このことは父にも母にも報告はしないでください」

「そういうわけにはいきません」

「マリアが養子に入るようなことになれば、私も、あなたも立場が変わるのではありませんか?」


 いってしまったというのは後の祭りである。

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