第3話 どんな効果があるか調べよう

 私は食事中に、ステータスの項目を開きっぱなしにしていた。


 こちらの食べ物はかなりおいしい。家柄的にもいいものを食べているのもあるだろうけれど。コースで出される料理は、父親と母親のものと、子供たちでメニューが違うけれど、どれもおいしい。


 毎日このレベルのコース料理だとしたら……パラダイス。

 しかし、連日こんなの食べてたら太りそう。いや、そんなこと考えている場合ではない。なにか効能があるかの確認作業を続けよう。



 HPはすでに全快だったので、食べたことでHPが回復するかどうかまではわからなかった。

 けれど、魚料理を食べるとストレス緩和というのが表示された。魚のせいなのか、調味料のせいなのか、上にのってる臭み消しに使用されたハーブのせいなのかこれまたサッパリ……。

 だけど、何らかのアイテムを実際に食べることで、効果が手に入れられることはわかった。



 それからというもの、私は食べたものの効果を確認。そのメニューの材料をフランに料理長に聞いてきてもらう、原因となるものを絞るという実に地味な作業をすることになっていた。


 ハーブの中から集中力がアップするものがわかったときの感動ったらない。

 家族はと言うと、私が食べ物に熱心なことに対しては、ほほえましいようだ。


 それから、試行錯誤を重ねること一カ月。

 なんとなく、家でよくつかわれる食材がわかってきたし、料理長の調理の際の調味料選びのクセもなんとなくわかってきた、そして肝心の食べた時にもたらされる効能もいろいろわかってきた。


 料理の持ち運びは難しそう。ということで、目をつけたのはハーブ。



 集中力がUP

 足が速くなる

 注意力が散漫になる

 HP徐々に回復(極小)

 眠くなる


 などあげだすときりがないけれど本当に多種多様効果があるハーブがいろいろあった。

 乾燥させれば効能は落ちるかもしれないけれど使えるかもってことへと試行錯誤がうつったため、私の部屋は今や葉っぱだらけ。

 フランは冷たい目をするけれど、これがとっても重要なことですから。

 親も部屋汚いと片づけを強制するタイプじゃなくてよかった。


 そんなとき、父親が私に大量の紙をプレゼントしてくれたのだ。

 ルート兄様はそんなもの何が嬉しいのだろうと完全に顔にでているけれど。


 私はこの大量の紙をつかって、まずわかる範囲で辞書を作ることにしたのだ。絵を描き、わかってる限りの効能を記し取っておく。

 記録は本当に大事なのだ。


 挿絵があったほうがわかりやすいでしょう! と絵を入れ始めたのだけれど。

「絵がとっても好きなのね~」

 お母様はそういってニコニコと私が絵を描いてるのをたまに見に来る。

 ルート兄様も、絵に興味をもったのか、私の横で真似をしてかいたりしているが、画力はしょせん5歳児、なんとも微笑ましい。



 家の食材はあらかた調べつくした私は、そうなると当然家の外に出たくなる。

 父と母は当然反対。

 そこをなんとかなんとかなんとかゴネて、お願いして、私はとうとう市場調査にでかけることとなった。

 といっても、家からでて10分ほどのところにだけれど。

 念のため、乾燥させたハーブを少し持ち歩くことにした。



 足が速くなるドライハーブ粉末何かあったらこれを使えば、市場をスムーズに回ることも可能かもしれないし。最悪、何かあった際、従者を巻けるかもしれないし。



 従者は二人、私のお付きであるフランと。

 今回のために雇ったであろう、明らか冒険者してました! って体型の男性の方だ。



「アイリス! 僕も行くよ!」

 げぇ……。

 ルートお兄様がニコニコとパーティに参加してきた。

「えぇ……お兄様」

「アイリスは何を買うかもう決めた?僕は実は一度だけ市場の前を通ったことがあるからなんでも聞いてね」

 前を通っただけなのに自信満々でそして、私にお兄ちゃんぶるところがたまらない。


「馬車ではなくて、歩くんだね」

「えぇ、お兄様。二階の部屋から方角さえ合えば見える距離の市場ですからね」

 ニコニコといろいろお兄様は話しかけてくるけれど……。

 これがなかなか面倒くさい。


 あれこれ、考えているところに、これ聞いて、あれをみて……。

 保育士の先生とか本当に尊敬してしまう。

 というか、私子供苦手だったのかもしれないデス。





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