第2話 状況を整理してみましょう
とりあえず、状況を整理しよう。
このとてつもなくおいしい紅茶を飲みながら、ゆっくり整理しよう。
外見は子供、中身は大人
私は普通の子供ではないのだ。
神社で私は子供の時に戻りたい的なことをお願いした。
そして、母親からの話を聞きたくないってこと。かつ、そのとき、うきどきラビリンスの攻略も頼もうとちらっと願ったあたりで声が聞こえたのだ。
とりあえず、元に戻る方法があるかどうかは、おいておいて、このままシナリオ通りに進めば私はずいぶん肩身の狭い思いもするだろうし。
学園でのマリアのおこないによって、処刑の可能性もある。
幸い、私はステータスの魔力こそ低いけれど、まだ4歳の子供、対策を練る時間は学園の入学まであと9年もある。
私が13歳になる年の夏。
召喚の儀によって、魔法学園に入学の資格がある国中の魔力を一定量保有する子どもは魔法学園に魔力の低い順に召喚されるはずなのだ……。
フランは養子のことは心配しないようにと言っていたけれど。マリアの魔力的に、もしコーネリアス家の養子になる計画がとん挫してしまったとしても、召喚の儀には間違いなく魔力的に入学の資格ありとなり私の目の前に現れることだろう。
養子の話が来るくらいだから、本家ではないが、マリアはコーネリアス家の分家……またはゆかりのある家柄、コーネリアス家の誰かの妾の子の可能性が高く、やはり私が学園でマリアの仲裁や邪魔をしなければ、処刑に巻き込まれるまではいかなくても、連帯責任は免れない。
私の目の届くところならばフォローもできるけれど、いないところで起きたことはどうにもできない……。
だから、魔法学校への私の入学は絶対条件。
散々魔力が低い、お情けでなんとか入れたと言われていた、ヒロインの初期のパラメーターは。
HP100/100
MP100/100
だから、13歳までに最低でも100到達まで何としてもMPの最大値をあげなければ。
これまでのプレイから、学園での生活や、イベント、クエストのクリア、アイテムなんかでどれくらいパラメーターが上昇するのかは不明だけれど、卒業まで主人公がMP100のまま据え置きということはなかった。
だから、何かしら経験値が入るようなことをするなり魔法の修業を今からでもすれば13歳までに目標のMP100まで到達させることは十分可能なのかもしれない。
幸いステータスはいつでも閲覧できるようだから、MPの上限が上がったかどうかは常時閲覧可能。
ステータス画面を開けば。
アイリス・フォン・コーネリアス
状態 良
HP40/40
MP3/3
状態という先ほどまでなかった項目が増えており、良になっているし、HPも回復している。
今飲んでいる『くまくまバチの紅茶』は何らかの効果があるアイテムなのだろう。
とりあえず、ステータス画面を見ながらどんなことになるか調査しながら食事もしたほうがいいかもしれない。
取得経験値がUPするアイテムもダウンロードパッケージを購入し、ゲームで特定条件をみたせば購入可能と書いてあった。
こうなると、なんでダウンロードパッケージダウンロードしておかなかったか悔やまれる。
そして、可能であればマリアが養子にくるのを避けできるだけ私との関係性が縁遠いことが望ましいだろう。
学校へのマリアの入学は回避できないにしても。
マリア自身に養子とはいえ公爵令嬢であるという後ろ盾があるかないかは大違いのはず。
おそらくになるけれど、第二王子の婚約も、コーネリアス家の養女だったから持ち込まれたものの可能性も高い。
たいてい家柄がいいと魔力も比例して高いことが多いのもあるだろうけれど、貴族社会のため家柄による周りの対応の差はあった。少なくとも、マリアが公爵令嬢でなければマリアを中心とした取り巻きが家柄という力を使いでできることは避けることができるかもしれない。
とにかく、覚えていることを忘れないようにメモしておいたほうがいいわよね……。
少なくとも、学園入学までの9年間もの間今のように詳細に覚えておけるはずもない。
こうしてはいられない。
私はティーカップをテーブルに置くと、フランを呼び、何かメモをとれるものをもらわねば。
「フラン! フラン!」
フランは私の呼びかけで、大急ぎでやってきた。
私が書くものが欲しいというと、すぐに羽ペンとインク、それに紙をもってきてくれた。
紙は貴重なものなんですよとフランが言うものだから、それにみっちりと覚えていることをかく。
一心不乱に黙々と小さな文字らしきものを書き続ける私をフラン以外のメイドも見にきたけれど、どうやら日本語は読めないようだ、配慮している時間も惜しい。
忘れない間に一つでも多くのことを書いていつでも見れるように残しておこう。
あっという間に夕方になったけれど、まだ書き終らない。
メインイベントや攻略対象のことをわかる範囲ではなんとかかけたけれど。
細かいアイテムやイベントのことなんかは全然書ききれない、というかすでに今の段階で忘れてしまったものもある。
イベントもアイテムもクエストも多すぎる……多すぎるぞ……。
さすが公式が攻略本出しません宣言するほど。
紙も大事に大事に使ってるつもりが、もう6枚目、しかも真っ黒じゃんくらい書きこまれてる。
本当は清書したいし、できればわかるモンスターなど簡単なイラストなんかも書いておきたいところなのに……。
それは、当然夕飯の時間になったという理由で中断せざるおえなくなった。
大きなテーブルには私の父だろう男性、母だと思われる女性、攻略対象の一人であったマリアの兄、ルート・フォン・コーネリアスが子供バージョンで座っていた。
この兄ルートはマリアより一つ年上、魔力は高く、薬学の知識も持ってる博識キャラだ。
父のように宰相を目指すように周りに圧力をかけられているけれど、本人は魔法を使えない者、魔法の恩恵をうけれないこの国の大半の国民を、薬学を学ぶことで救いたいという気持ちがある。実はいいやつキャラなのだ。
だけど、自分の家柄的にはその薬学のことは他の誰かに任せて王をいずれ支えるということに専念しなければいけないということでいろいろ悩んだり我慢したりしてる。
鋭い目つきで常時機嫌の悪いのがデフォルトのキャラでもあったが、そこは彼もまだ子供、今は眉間にしわもないし、目つきも鋭くない。
今は純粋においしそうに目の前のスープを上手にスプーンですくって食べていらっしゃる、利発そうなお子さんだ。
とりあえず、彼とは学園生活での期間がかぶることもあるし、実の兄だから仲良くなっておかねばいけないだろう。
父と母は魔力が低いことをまだ知らないのか私に普通にやさしい両親だった。
マリアも、でかい顔でいるって言っていたことから、マリアが養子にはいった後も、私に対しては魔力が少なく学園には入学できなかっただけで、父からも母からもそんなにひどい扱いをうけていなかったのかもしれない。
マリアを止めなければこの実はいい人の兄も、おそらく私をクズ扱いしたりはしなさそうな父も母もいっしょに処刑だ…………。
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