第10話
藤丸は、駆け出しだったとは言え、下忍の中でも優秀な
「藤丸は、藤丸らしく生き抜いたようですね…愛し愛され、きっと幸せだった事でしょう。遺された無念は必ずや、晴らしてやりましょうぞ」
心にドッシリとした重みを感じさせるその言葉に、
藤丸との会話は燈吾にとって、とても
それでも、恋しい彼に瓜二つの紘之助という人物を前にすると、その中に藤丸を求めてしまう。そんな燈吾の様子を見て、紘之助は少し切なそうに苦笑した。かつて互いに愛し合っていた人を前にしているというのに、燈吾は紘之助ではない者をまだ愛している。
悲しみと寂しさを混ぜ合わせたような笑みを浮かべている紘之助の表情を見て、ハッとした燈吾は、心の中心から何とか
「紘之助、そなたの一族は諜報活動を生業とすると言っていたな、どれほどのモノか気になっているのだが…」
「-
質問に答えず、彼は弟の名前を口にした。燈吾が不思議そうに首を傾げた瞬間だった、一切の音をたてること無く、天井から足元に夜之助が降ってきた。その胸元には
「…これは…夜之助、いつから天井裏に?」
「兄上が座ったときからです、修練のために、お許し下さい」
まだ幼く見える夜之助が、巻物を燈吾に渡した。巻物の
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