猛暑

稲光を宿す不気味な雲の巨城は

遥か遠くに聳え

雷鳴ばかりが轟く


周辺地域では強い雨が……

そんな意味の為さない注意報だけが

ひっきりなしに携帯に入り

日照り干魃に焼かれた大地は

固く渇いてひび割れていく


どこかで雨を降らせた空気が

微かな湿り気を含んで風となり

僅かばかり気温を下げても

連日の猛暑で疲弊した体には

何の慰めにもならない


蝉も羽化出来ないのだろう

静まり返った昼下がり

喘ぐように雷鳴も遠ざかる


いつになったら雨が降るのか

ほんの目と鼻の先では

大きな雹が降ったという

嘘のようなニュースに

ため息だけが零れ


きみと二人、畳の上で

瀕死の魚のように転がる

猛々しい暑さに浅い呼吸を乱しながら




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