桜花散る

愛など要らぬと背を向けて

震える唇を噛み締めたまま

しゃがみこんでいる背中は

記憶の中の自分自身なのか


混濁していく記憶の底には 

底無しの渇望が黒々と満ち

沈み込んでいく愛の残骸が

僅かに波紋を投げ掛けてる


歪み   畏れ   憧れ 

傷む   戦き   望み

壊れ   惑い   願う

憐れ   喪う   祈り


何もかもが届かない現状に

何もかもが崩れていくまで

背を向け泣いたふりを続け

その実嘲笑っているのだと


君は知っていたのだろうか知らなかったのだろう

それとも気づかないふりを

演じて私を騙していたのか慰めたつもりか

今となっては分からぬまま


ただ散りゆく桜の美しさに

重なる想いが降り積もって

醜さも懐かしさをも等しく

全て覆い隠していくばかり


咲く 咲いて 咲き乱れて

散る 散って 散り逝かば

ただ 美しい 桜花の如き

恋情 恋慕う 初恋の面影

 

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