大好きだったおじいちゃんが死んだ。



まる2日泣き続けて涙が出なくなった頃、

家族はめちゃくちゃになっていた。


これまで知らなかった事が、

蟻のようにうじゃうじゃと湧き出て

まとわりついては噛み付いた。


悲しみでおかしくなった家族は、

夜毎小さな事で言い合った。


その時、叔父さんが私の母に言った。



「子供たちがああなのは、

姉さんの育て方が悪いからだ。」



叔父さんに悪意はなかったと思う。

小さい頃から可愛がってくれて、

私達を大切にしてくれていた。


おじいちゃんの死で崩れたバランスを取り戻そうと、必死だったんだろう。


でもその一言で、

私の人生が帳消しになった気がした。



私が生きてきた二十数年は

一体何だったんだろう。


これまで懸命に生きたと思っていた時間も、

出来損ないの失敗作だったんだ。


その後は、

ずっとその事ばかり考えていた。


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