暖房がききすぎてむあっとした部屋で、頬杖をつきながら、ルーズリーフの端に落書きをする。


熱心に話を聞いているふりをして、お昼何食べようか、と頭は昼食のことでいっぱいになっている。


初老の男性がぼそぼそと話すだけの90分を終え、私は友達のもとへ向かう。


エレベーターの鏡でさっと髪を整えて、広角を少しだけ上げ、彼女に声をかける。



あの俳優が結婚したとか、バイト先の新人がかっこいいとか、次の課題ができてないとか、そんなありふれた話をして50分が過ぎる。


そして今度は、暖房が壊れて酷く冷えた部屋で90分を過ごす。





そういえば、ある時友達に、悲しいと伝えてみたことがあった。



「楽しいことして忘れよ!カラオケでも行っちゃう?」



と、彼女は私を励まそうと明るく振る舞ってくれた。その気持ちが素直に嬉しかった。



しかし、悲しさをわかってもらえない事に、頭の中がしーんと静まり返ったのを覚えている。




それから、私と悲しいは二人きりになった。



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