第20話 掌の中の迷走

「掌の中の迷走」


あゝ、この聖なる地は

広く、美しくあると信じている

長い年月を経て見出した偶然の地


この偶然を願い、

誰もが此処を求めてやってくる


風見鶏が無責任に見つめる方向を

群衆は無心に突き進む


歩いては立ち止まり

立ち止まっては歩き始め

気付けばあさっての方向を眺める風見鶏


慌てて方向転換し、方角を見定めるも

行き場を失い胸の鼓動が高まるばかり


《どう歩むべき?》


天に語りかける弱々しい言葉は迷いの象徴

無意識に造物主の掌の中を駆け回る


此処に辿り着く、着かないも必然

そして、

辿り着く者達には究極の選択が迫られる


還る、去るは自由

賽は投げられたのだ


未来を少しだけ覗き見したいと願う心

答えは先達が持つことに気付かぬまま


歴史は繰り返す、偶然を重ねるから

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