第8話 迷いなき退場

迷いなき退場


すべてが光に照らし出され

すべてが闇に覆われる現在

何物にも依存しない存在を

私達が目にすることはない


人生を過度に不安視せず

人生を適度に楽観視せよ

絶望は身を滅ぼすから


高く積み上げた丸石が

今、脆くも崩れ落ちる

あまりに不安定な均衡が

私達の肉体を、魂を構成している


人間という産物をどこまで信じるのか

「親友」という二文字をせせら笑う君

私はふと空恐ろしくなり

布団を頭から被り、現実を放棄する


今日も17時半の時報が鳴った

良い子はウチに帰るべし

いつから24時を越えても

誰にも気兼ねをしなくなったのか


こうやって年齢を重ねて

規則というものに無関心になり

そしてすべてを得たつもりで

そのすべてを喪うのだろう


黒に満ち溢れ、それでも人生

悩みも迷いも存分に塗りつぶし

道連れにこの世を退場すべく

私は孤独の風を肩で切って歩く

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