もう還らぬと誓った空へ

第4話 もう還らぬと誓った空へ

「もう還らぬと誓った空へ」


もう還らぬと誓った空へ

季節を跨いで、また姿を現す


時の風が外の樹々を揺らす

少しだけ肌寒い空気が

連れてくる温かな心


目醒め

それは光

それは風

それは音であり

春の化身は少しよそ行き


眠り

それは闇

それは波

それは涙であり

魂の権化は美醜の現身


自分であって自分でない自分に

心で出会った瞬間からの長い道程


僕は時を描き、君の笑顔を誘って

言の葉を贈り、君の笑顔を奪った


失ったものは数知れず

欲深い人間がただひとり


肌で感じる街の賑わい

無邪気な子供達の笑顔と笑い声

それだけで充分なのかもしれない


木枯らしに怯え、時雨に涙したあの頃

麗らかな春の到来を快く受け容れよう


あと少しだけ歩いてみようか、未来を

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