第5話消えた地区

ゴーストヘブンを以降「幽天区 」と呼ぼう。

アカネが幽天区を発見してから半月の時間が過ぎた。

今の現状を知る限り、あまり地上を歩くのは得策でないと考えた2人はこの地で生活をしていた。

食事に睡眠、運動も出来るので慣れるのは早かった。

そしてそんな今日もいつもと変わらず区内を歩いて食事をとったりしようと、当たり前となった生活を送ろうとしていた。

だが当たり前なんて言葉は無かった。

幽天区の入門の前が騒がしかったので2人は向かうと、そこには紺色の制服をまとった男に銃を構えながら盾を装備し前進してくる兵隊。

幽天区についに警察が足を踏み入れた瞬間だった。

区の中の人間は裏口から地下道や地上へ走って逃げた。

アカネとハルも集団に続き警察から逃れたが幽天区にいた人の半分は警察に捕まってしまった。

「きっと、私達のせいだ... 」

アカネは自分を責める。

「そんな事はない、私達の後を追ってここへ着いた警察の捜査力が見事だと褒めよう。」

ハルは慰めると共に1つ提案をした。

「もしあの区の人達に償いたいのならやる事は1つだろう? 」

アカネはまだその言葉を理解してはいなかった。


警察の襲撃から1週間が経った。

逃げた人々は幽天区から約1km程離れた小さな聖堂に避難していた。

アカネとハルもそこへ向かった。

あれからアカネはハルの助言もあり、ひとつ決意を固めた。

「皆さん、私はこの世間に納得ができないっ!

この世の中を変えたい、何にも縛られずに生きたい!皆さんはこんな生活のままでいいんですかっ?!」

聖堂に集まった約50人に問いかけた。

すると賛否両論、やはり意見が一致しなかった。

「変えたい...こんなのやだよ... 」

「どうせ無理だろ、くだらないジョークする暇があったら新しい地区を作れよ... 」

沈んでいた空気が気に入らなかったハルは問いかけた。

「人に行動を決められて何が楽しい、何が嬉しい。意思があるのなら行動しない以外に何がある?またあんな所で一生を過ごすのか? 」

元気を出してほしい、勇気を出してほしい、そんな思いで檄を飛ばした。

「それでも人間か?機械のように決められたことしか出来ない、そんなんじゃ何も変わらないぞ!」

少しずつ周囲の人々は元気になっていく。

少しばかりの勇気がどんどん膨れ上がった。


「この退屈な世の中を変えよう! 」

2人は拳を大きく突き上げた。

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