第3話善と悪

警察に追われ必死で逃げる2人を通行人が見つめる。

「なんだ?あれ 」

「何かやったのか??」

前にいた2023年ならば、アカネが逃げる事も無かった。

しかし今いる時代、2150年は違った。

「この時間にこれをやりあの時間にあれをやる 」と言ったようにこの時代では毎日やるべき事が決められていて、もしも違った事をした人間は罰せられるのが常識と化していた。

つまりアカネは勿論、アカネを連れて逃げ続ける女性も世の中では立派な犯罪者なのだ。


高層ビルや地下駐車場などを通り、追っ手をまくことが出来た2人はそばにあったトラックの裏に身を潜め息を整え、アカネにこの時代の決まり事や今いる場所、必要な情報を全て教えた。

「お前と私は今日から立派な犯罪者だ、これからよろしくな。」

彼女はそう言って手を差し出した。

「私はハル、さぁ仲良くしよう。」


アカネは彼女をハルさんと呼ぶ事にした。

「ハルさんはどんな仕事をしてたんですか?誘拐とかですか?」

アカネの頭をペチリと叩き、自分は元警官だと言った。

ハルは警官だった頃、今の法と定められた「人権監理法 」に疑問を抱き職を降りたらしい。

だがハルが法に異議を示してもどうする事も出来ない。そんな中、やたら正義感の強いアカネは口を開いた。

「そんなのおかしいです!私は許せないです!」

ハルはその言葉に重みが無いのを理解しているも、どこか期待している所があった。


トラックの裏に隠れ、かれこれ30分経つと巨大な家電量販店の電子モニターに速報ニュースのテロップが流れた。

そこには「20代と見られる女性2人が逃亡、人権監理法違反の容疑の疑い 」と記されていた。

一難去ってまた一難、アカネとハルの顔は一瞬で凍りついた。

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