第7話 二人仲良し


「たかしはこれからルビオに魔法を教えてもらえ。魔法できれば動物に襲われても撃退できるし、馬を乗りこなせば森をぬけられるぞ」

「森をぬけたら冒険者ギルドのある所を目指して、冒険者になったら王国に行くといいよ」


 ある程度体調が回復すると、ルビーとルビオにそう言われた。やっとこの先のやることが見つかって、不安感は和らいだ。

 体調が悪くなったせいで魔法を使えたことに興奮する余裕がなかったのはちょっと残念な感じだが、それでも俺は今最高にテンションがあがっていた。だって俺、魔法を使えちゃったんだぞ?


「ルビオ、俺にもっと魔法を教えてくれ!」

「……まずはファイアーボールをまともにうてるように頑張ろうね!」


 俺のテンションの高さに、一瞬戸惑うルビオだったが、俺のテンションに合わせてくれる。素直すぎるところはあるが、ルビオは頭のいい子だ。


「ルビーはちょっと狩りにでるぞ」

「ルビーいってらっしゃーい」

「俺は魔法の練習してまってるよ」


 ルビーはきっと剣でもとりに行ったのだろう。家の方向へ歩いていった。


「……ルビーはすごいな。料理の肉は全部あいつが狩ってきたやつなんだろ?」

「ルビーはすごいんだよ。たまに意地悪するけどね」


 それはお互い様だろう。二人はとても仲が良いが、たまに意地悪なこと言っては喧嘩している。アクアさんがいる前では結構いい子にしているのだがなあ。でも、喧嘩をよくする割に、二人はお互いを尊敬し合っている。

 狩りはほとんどルビーがするらしい。ルビオは魔法が得意だがそれで狩ると獲物が焦げてしまったりして、食べる部分が少なくなるのだと以前ルビーが言っていた。そうだとしても、一人で毎日皆の分の肉を狩ってくるのは大変だろう。内緒だが、俺もルビーをちょっとだけ尊敬している。


「僕は魔法が得意だけど、ルビーは剣が得意なんだ」

「二人で弱点を補うことができる、いい兄妹だな」


 そう言って頭を撫でてやると、ルビオは照れたように笑う。

 喧嘩ばかりしているが、二人は本当にお互いを大切にしている。勿論アクアさんも二人を大切にしているし、二人もアクアさんをとても大切に思っている。この家族は、眩しいくらいに愛に溢れていた。


「じゃ、魔法の練習するか。ルビオ、コツとかある?」

「さっきの感覚思い出せる?魔力を杖に流し込むの」


 ルビオに助言してもらい、たまに酸欠のような状態になりつつ、俺は夢中になってファイアーボールをうち続けた。


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