第6話 魔法とかめちゃくちゃ夢が広がるじゃん


 アクアさんの家にきて、数日がたったが、これからどうするべきか全く思い浮かばず、暇な日々が続いた。


「うわ、寒いな」


 ルビーに暇なら花をつむのを手伝えと言われて、外へ来たのはいいがやけに寒くて、腕をさする。ルビーは半袖だが、全然平気そうだった。


「なあルビー、コートとかないのか?」

「……一旦戻るぞ」


 意外だ。嫌われてるから、我慢しろと言われると思った。


「あれ、ルビーにたかし。もう戻ってきたの?」

「たかしが、寒いと言うんだぞ」


 そう言うと、ルビオはびっくりしたように目を見開いた。ルビオは長袖だったが、ルビーが特別寒さに強いのか。


「それって……」

「ルビオ、試してみるぞ」

「ちょっとまって俺その話についていけてない」


 俺の訴えは残念ながらスルーされた。

 ルビーは上着を持ってきて俺に渡し、ルビオは杖をもってきた。俺は二人に外へつれ出された。なんだあの杖?と思いながら上着をはおる。


「たかしはもしかしたら魔法適性があるかもしれないぞ」

「え、まじ?」


 いまだにここが異世界だということを信じきれてはいないのだが、魔法だなんて言われれば別だ。魔法、なんてわくわくする言葉だろう。

 ここやっぱ異世界なんじゃないだろうか。というか異世界であってくれたら、魔法使えるからそうであってほしい。


「杖持ってみてよ」


 ルビオに渡され、前につき出すように構えてみた。


「おー、結構さまになってる」

「こっちに向けるな。危ないぞ」

「ごめんごめん。で、なにすればいいの?」


 ルビーに注意されたので慌てて杖を向ける方向をかえる。よくわからないが、多分剣を向けるのと同じような感覚なのだろう。


「ファイアーボールってゆっくり言ってみて」

「…… フ ァ イ ア ー ボ ー ル 」


 そんなことで魔法が使えんのか?なんて思ったが、ちゃんと言うことにする。

 すると途中で体からなにかが杖へ集まり、言い終わる頃には体からなにかがぬけきったような感覚に襲われた。

 驚くことに、火の玉が前方に飛んでいったのだが、酸欠みたいになって視界が歪み、なんだか頭がぐるぐるする。俺、魔法、使えちゃった?まじ異世界?


「たかし、すごいフラフラだぞ。ルビオこれ大丈夫なのか?」

「適性はあったみたいだけど、技術がそれに全く追い付いてないんだよ。魔力使いすぎちゃったかな」

「う……きもちわる……」


 心なしか呂律もまわらなかった。

 しばらくすればマシな気分にはなったが、完治するにはもう少し時間がかかりそう。


「魔法が使えるならたかしは冒険者になればいいよ。冒険者カードも手に入るから王国に入れる」

「北の魔人の屋敷に行くには王国に入る必要があるから、それはいい案だぞ」


 話が勝手に進んでいないか?冒険者ってなんか危険なイメージあって嫌なんだが。でも冒険者ってかっこいいよなあ……。冒険者になるのもいいかも。でも怪我はしたくない。

 それにしても体調が本当に悪い。俺は、二人が話をしてる間に、木を背にして座り込み、休むことにした。

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