第4話 え?異世界?
「もしかしたらそこは異世界かもしれませんね」
平然と非現実的なことを言われた俺は、情けなくもまるで魚のように口をパクパクと閉じたり開けたりしてしまった。
確かに異世界ならアクアさんが空色の髪なのも、アクアさんとルビオの瞳が赤いのも、説明できるのかもしれない?いや、説明できるか?
「最近、北の魔人が召喚魔法を研究し始めた影響でしょうか……」
「かあさま、ごはんできたぞ」
「かあさま、僕ルビーより頑張ったから褒めてー」
まってくれ。まだ異世界とか魔人とか召喚魔法とか、意味がわからない話に納得していないんだが。ごはんができてしまった。
「二人ともありがとうね。たかしさん、話は中断して食事にしましょう」
「あ、はい……」
俺はもしかして盛大なドッキリにでもかけられているのだろうか。だってやっぱり異世界なんて変だ。そもそもどうして俺はこの三人と話が通じているんだ?異世界なら、日本語を話す人間なんていないんじゃないのか?
あれ、でもよく考えたらみんな口の動きと言葉が微妙にあってないような気がするなあ。勝手に翻訳されてるのか!?……それとも腹話術か!?勝手に日本語に翻訳されてるだなんて、異世界の存在よりも非現実的な気がする。
「「「いただきます」」」
「……いただきます」
しかも、食事の挨拶まで同じ「いただきます」だ。異世界なのに?やっぱり異世界っていうのは変だ。
食事はとても驚くほど美味しかった。パンとスープとサラダというシンプルな献立だが、パンは香ばしく、スープは柔らかいお肉や野菜がゴロゴロと入っていて、サラダは新鮮な野菜が使われていたし、ゆずのような風味が微かにするドレッシングが癖になりそう。
異世界って、剣と魔法の世界で食事はたいして美味しくなくて獣人とかいて王様がクズで不便で盗賊とかいっぱいいて魔王が世界征服企んでるイメージがあったんだけどなあ。いや、偏見なのか?そもそも本当にここは異世界なのか?
「たかし、おかわりいる?」
「いる」
ルビオに問われて即答してしまうくらいには美味しかったのだ。お腹空いてたし……。
「たかし、図々しいぞ」
「ルビー、お客様にそんなこと言っちゃだめよ」
「いえ、確かに図々しかったです。すみません」
俺がそう言うと、アクアさんに申し訳なさそうな顔をさせてしまった。相変わらずルビーは俺に敵対的だ。
「気にしないでいいんですよ。招いたのはこちらですから」
「おかわりもってきたよ」
「ルビオ、ありがとう」
屈託のない笑顔でおかわりをもってきたルビオに癒され、つい頭を撫でてしまった。ルビオは嬉しそうだが、ルビーの睨みが余計に鋭くなった気がするよ……。
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