bloody


君の唇から、赤い血が滲んでいた。


柔らかくて薄いそこは人間にとって多くの意味を持っている。食べ物に触れるのもそこ、思いを伝えるのもそこ、キスをするのだって、愛撫するのだって。

お互いの弱いところを重ねて、擦り合わせて、貪り合う行為を僕は君としてみたいと思った。その先なんて僕には必要ない。


ただただ、君とキスをしたい。


君の血を舐めて、味わって、僕の中に閉じ込めてたい。

触って、重ねて、噛んで、食んで、吸って、濡らして、喘いで、求めて、抱きしめて。

僕の唇で君の唇を感じたいのだ。


「おい、ぼーっとして…どうしたよ」

「あ、あぁ。大丈夫」

「そっか」


僕は、遠くから君を見つめることしかできない。でもいつかこの思いは届くと信じている。

僕は無意識に舌舐りをした。


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大好きだよ、佐東さん まゆげサレン @mayuge_saren

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