第33話
今もお金がなくて
困っている。
お金があると
使ってしまう
浪費家だから。
ヤバい。
働くしかない。
履歴書を
手にとった。
職歴を見る。
キミといた時代が
何年頃だったのか
ハッキリした。
よかった。
履歴書のお手本が
残っていて。
なかったら
さかのぼって
書くのは
あいまい過ぎて
正確に書けない。
僕は仕事が休みの日は
全てキミだった。
キミのバイトにも
付いていった。
キミのバイトは
自動販売機を掃除して
使えるようにする
仕事だったと思う。
かなり自由で
僕がいても
全く問題なかった。
僕は手伝うでもなく
ずっと見ていた。
早く終わって
遊びに行こうよ。
くらいしか
思っていない。
終わるまで待って
一緒に帰った。
今から思うと
僕は何が楽しかったのだろう。
と不思議だ。
毎日毎日
キミのことばかり
考えていただけ
なんだろう。
キミは迷惑で
なかったのか?
イヤなら
帰れ。って言うから
イヤじゃなかった?
バイトと言っても
給料がたくさんもらえた
わけではなく
食うに困れば
母親の店に行けば
食べられるから
なんとも思っていない
ようだった。
それが
僕に変わっただけ
だった。
あの頃は
楽しかった。
よくデートで
焼肉屋に連れて行って
くれた。
焼肉なんて
食べに行く習慣は
なくて
働き出してから
行くようになった。
だからほぼ
焼肉のことは
わからなくて
キミがいろいろ
教えてくれた。
センマイなんて
食べたことなかったし
ミノがコリコリして
美味しいを
知ったのも
キミがたのんで
食べたから。
別れてしばらくして
最後に焼肉食べたね。
キミは久しぶりの
焼肉だ。と言っていた。
何を食べたのかも
覚えていない。
確かこの時
彼女の存在を
聞いたと思う。
僕にはもう
付き合っている人が
いたし
とがめる資格が
全くない。
食べた気がしなかった。
だから覚えてない。
だけど
一つだけ鮮明に
覚えてる。
頭をなでられた。
キスも握手も
もう出来ない仲だから
それが精一杯だった。と
思う。
ほんとに
ありがとう。
ココロから
思った。
そのあとキミは
その彼女と結婚した。
堅実なキミだから
家を買って
母親も呼んで
借金はしたけれど
ちゃんと返して
いったと思う。
お父さんの実家の
蔵を相続したし
お金にはもう
困っていないだろう。
僕はいつまでも
ビンボーなんだ。
キミは僕と結婚しなくて
よかったと思うよ。
僕といたら
いつまでも
貧乏だっただろうね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます