第31話
スマホはいい。
漢字を覚えてなくても
読み方さえ判れば
変換可能。
語彙が少ないから
拙い表現しか
できなくて
悔しい。
もっともっと
勉強すればよかった。
キミは僕に
怒っていると
口をきいては
くれなかった。
でも僕に
伝えたいときは
手紙、メモだった。
メモがあると
僕は嬉しかった。
ご飯はいらない。
と書いてあるだけ。
名前は書いてあったが
例のシンガーソングライターの
名前で。
僕は無駄なことを
しなくて済むから
助かった。
ない日は
寂しかった。
意思表示がないので
ご飯は作る。
食べてないことも
まぁあった。
僕から発信するときは
上様と書いた。
さすがにしんえもん
とは書いてないけど。
読んだかどうか
わからなかった。
そのまま
放置されてたから。
キミにもらった
最後の手紙は
保管した。
だが
どこに片付けたか
わからない。
キミが
なんかあった時に
出してほしい。と
撮らせてくれた
写真とともに。
捨てられてしまったかも
しれない。
僕の連れ添いに。
探しても見当たらないから。
なんて書いてあったか
思い出せないが
最後には
例のシンガーソングライターの
フルネームで書いてあった。
どこに行ってしまったのか。
ほんとに捨てられてしまった?
キミからもらったものって
他にあったかな。
キミが残していった
荷物は
別れてから僕は
二回引っ越した。
二回目引っ越しで
ほとんど処分した。
包丁だけは
残っているよ。
その包丁で
料理するたび
これはキミのところに
あったやつだ。と
思う。
僕は密かに
使っている。
キミは整体の資格を
持っていた。
その道具が
僕のところに
しばらく残っていた。
捨てずに保管していたが
キミはそれを返してほしいと
連絡してきた。
僕はその頃には
2人子どもがいた。
妹の子どもも
下の子が同級生で
3人面倒を見て
いたことがあった。
僕はその3人を連れて
キミの待ち合わせ場所に
向かった。
キミは変わってなかったと
思う。
僕は子どもたちを
抑えるのに必死だった。
キミはその姿を見て
どう思ったかは
知らないが
道具だけもらって
帰っていった。
悲しいが
それが僕がキミに
最後に会った日。
そのあと何年後かに
大型商業施設で
双子をつれてた僕。
キミは僕を見たが
僕はキミを見ていない。
会いたい。
でもそれは
できないんだよね。
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