第14話

お前の書いてることなんか

チラシの裏にでも

書いとけ!と

言われる話かも

しれない。


それでも良かったが

僕がこの世にいた

証が欲しいんだ。


引き出しに

入ってたら

ただのゴミに

なってしまう。




キミをよく

怒らせたことは

なんだろう。



僕の無駄遣いだと

思うんだ。


僕は何か残るもの、

そう、光り物とか

財産になりそうなものを

買うわけじゃない。


消耗品ばっかり。


特に食べものに

お金を使う。


キミには僕の

お金の使い方が

気に入らなかった。


家賃、光熱費、

食費ですでに

僕の給料は

ほぼなかった。


僕はその他に

実家に

仕送りをせねば

ならなかったんだ。



縫製業は先細りで

両親の仕事は

ピーク時に比べて

ほんとに少なかった。


僕は短大まで

行かせてもらったから

お金を返さないと

いけない。


キミはこのことを

最初は知らなかったと

思う。



あまりにも続く

その請求に

僕はイヤになった。


母親に

いつまで払うの?

と訴えた。


すると

あなたが結婚したら

もういいよ。


見通しがついた。



でも結婚という

ハードルは

高かった。


僕はもちろん

キミに伝えたんだ。

僕の払ってた

家賃と変わらない額の

仕送りだったから。



でもキミは

考えてくれなかった。


僕は金銭的にも

追い詰められていた。

結婚すれば

逃れられるのに。と。






僕はキミに

選ばれなかった

理由は

考えなかった。


やっぱり

突拍子もない

行動に出る。


電気屋さんに行き

その頃珍しい

インターネットが

できるワープロを

買ってきたんだ。


13万5千円。


僕には新鮮だった。

インターネットって

なんだ?と。


僕は機械が

好きだった。


今はスマホで

簡単になんでも

やれちゃうけど

その頃は

一般の人に

パソコンが普及し

始めた頃だった。



そのワープロの

お金で

パソコンは

買えたかもしれない。


僕は知らなかった。

無駄遣いだった。



ワープロに

ちょっとインターネットも

使える機能だから

不便だったよ。


僕はそのワープロで

新しい世界を

知ることになる。




多分偶然だろう。

インターネットに

虜になった僕は

いろんなものを

閲覧した。


都道府県が限定の

掲示板に

ぶち当たる。


僕は軽い気持ちで

掲載した。



次の日、

100件を超える

メールが届く。

僕は舞い上がった。


ワープロなので

感熱紙を買ってきて

ほとんどのメールを

印刷して

読み

返事を書いた。



まだネット出回り始めた

ばかりだったからか?

ルールはなかった。


僕は初心者が

陥りやすいミスを

犯したんだ。


あまりの多さに

全員に返信していた僕は

全員に返せなくなってきた。


個人情報を載せられて

しまったのだ。

アダルトサイトに。



ある日の朝

僕は楽しみにしていた

返事を読むために

ワープロを開いた。


とんでもなく

恐ろしいメールに

僕は固まった。




童貞はいかが?


こちらは東京。

落ち合って

愛し合おう。


僕は君のことを

知っているよ。

裸になって

もっと知り合おう、




他は忘れたが

非常に過激な

メールが大半だ。


こんなメールで

メールボックスは

いっぱいになった。



おそらく

僕にメールの返事を

もらえない誰かが

僕の個人情報を

垂れ流したんだ。


個人情報は

初期段階のもので

親しくなる前だと

推察した。



アダルトサイトは

どこなのか

素人の僕には

わからない。


困り果てた僕は

2人のメル友に

相談した。


1人は残念な

人だった。

もう1人は

素晴らしい解決法を

僕に与えてくれた。


その人は

僕のパソコンの先生

である。



先生に

メールアドレスは

削除する解決が

提示された。


削除すると

ぱったりと

僕の悩みのタネは

なくなった。


正直感動した。

至極当たり前のこと。

僕はやっぱり

世間知らずなんだ。


後から気づいたんだ。

先生が仕組んだ

罠だったのでは?


疑惑の域を出てない。

先生が話した言葉から

推察しただけに

すぎない。



この話は

僕らが別れることになる

大きなきっかけに

なったんだ。


やっぱり僕が

悪いんだ。



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