第11話

キミの家族は

母親、キミ、お兄さんの

3人。


一緒にいたことは

見たことがなかった。

3人バラバラに暮らしていた。



父親と母親は

離婚はしてないが

母親がキミたち

兄弟を連れて

家を出たんだと

聞いた。



家を出てからは

貧乏で

ご飯を食べるお皿が

なくて発泡スチロールの

お皿で食べたとか

洗濯できないから

お風呂に入る時に

衣服を持って入り

洗濯をしたとか

言っていた。


僕も家が貧乏だったから

貧乏話は聞きたくなかった。


僕はまじめに聞いてなかった。

他のことを考えていた。



キミのお兄さんは

キミをもっと意地悪な

感じにしたイメージで

苦手だった。


そんなこと

口が裂けても言えない。




母親はお店をやっていた。

居酒屋さんだった。



キミが居候していた

あの演歌歌手との関係は

どうだったのだろう。

多分大人の関係

だったかもしれない。


僕は特に

ふれない。

キミもふれない。



母親のお店の2階に

引っ越す話が

持ち上がったことが

あった。



結構引っ越しが

進んだ最中、

引っ越すのは

中止だ。

となった。


母親とケンカでも

したんだろう。


僕はなぜ中止に

なったのか

わからなかった。


しかし僕のことで

もめたに違いない。



僕は一人で

キミの帰りを待っていたから

多分2回目の病気で

仕事をしてなかった頃

だと思う。


2回目の病気は

尿路結石になって

入院して

そのレントゲンに

影があり

その影は

良性ではあるが

のう腫だった。

取らなければならなかった。


その時期であろう。


なぜか車がなかった。

不便だった。

小田原で車を失っていたが

その後であったのだろうか?

覚えていない。


慣れない街で

一人寂しかった。


コンビニで

恵方巻きを買って

食べた記憶があり

2月初めであろう。



引っ越しは

なしにしたので

一軒家に戻った。


不動産屋さんに

ひどく叱られたが

また住んでよいと

言われた。




僕はとても

コミニュケーションが

苦手で

人とうまく話が

できなかった。


キミの母は

僕を嫁として

どうなのか?と

見ていたのだろう。


遅すぎる春は

来ることはなかった。


僕は30歳を目前にして

焦っていた。

結婚してもらえないなら

他を探すしかない。

と。




忘れていたけど

お母さんの方から

僕の親に挨拶に行く

って話を聞いた覚えがある。


そのことで

ケンカになったのでは

なかったのか?


結局僕が悪いから

結婚できなかったんだ。

いろいろな要因が

重なって。




僕の父親は

キミを認めては

いなかった。


入院した時

僕の母が来てくれていた。

もちろんキミも

来てくれた。


母はその時が

初対面であったが

キミは違っていたね。



キミが僕のアパートに

一人いたとき

僕の母親が

襲撃してきたんだ。

僕は

仕事でいないのに。


僕の名前を呼びながら

ピンポンを連打。

キミはびっくりした。


潜んでいると

今度は郵便受けを

パタパタひっきりなしに

開けたり閉めたり。


それを魚眼レンズから

覗いてたキミは

声をあげかけるほど

びっくりする出来事に

遭遇する。



なんと

見えやしないのに

魚眼レンズを外から

覗いてきたんだ。




なんとも僕の母親らしい

行動だ。



なんとかバレずに

その場は済んだが

キミは大笑いで

僕に報告してくれた。



そんな母親だから

キミのことを

無碍にはしなかった。


しかし父親は

違う。

激昂したていた。


許すはずがない。

僕の家に住みついて

いたのだから。


キミは来なかったけど

僕の連れ添いは

挨拶にきたよ。

怒鳴られたわ。


でも大丈夫だったよ。




親父こそ

コミュニケーションが

取れない人間だったんだ。

ごめん。





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