第5話
僕とキミが
一緒にいたのは
8年くらいだったね。
8年も付き合っていて
結婚しようという
話が一回もなかった
わけではない。
そんなタイミングは
あった。
だかそれは僕にとっては
とっても辛い時期だった。
25才の頃だ。
僕は
髄膜炎が原因の
小脳炎になって
1ヶ月も入院。
退院したら
後遺症で仕事が
できなくなってしまった。
傷病手当という
お金をもらうことが
できた。
働けないから
そのお金で
生活をした。
決してたくさんの
お金をもらっていた
わけではない。
はじめは
立っているのも
つらくて
床に伏せていた。
元気になってきたら
少しでも生活の足しにと
あれこれ考えた。
喫茶店にバイトに行った。
だけど傷病手当を
もらってる立場と
伝えたら
やんわり断られ
行けなくなってしまう。
その喫茶店で知り合った
お客さんと仲良くなった。
何度も会ってご飯を
ご馳走になった。
実は僕はすでに
キミを裏切っていたのだ。
キミは知っていたのだろうか。
夜でも呼び出された。
キミがいるのに
僕は出て行った。
その人に会うために。
実は病気で入院する前、
職場の後輩に相談を
していたんだ。
辛いと嘆いていると
悪魔のささやきが。
他の人と付き合って
みたらいかがですか?
後輩の言った
言葉の意味は
わからない。
だけどずっと辛かった
僕のココロは
澄み切った。
ああ、そうか。
一人だけじゃないのか。
と。
そんな簡単に
出会いなんて
あるものじゃない。
僕はその時代
出回っていた
テレクラを使った。
何人か会ってみた。
泊まりになったことも
あった。
そうなることも
厭わないほど
僕はのめり込んだ。
その代わり
僕はキミを少し
避けるようになって
いたのかもしれない。
汚らわしい僕は
キミに
相応しくない。
だが申し訳ないとは
思わなかった。
キミが僕を
追い詰めたと
思っていたから。
結婚の話は
病気で伏せる前に
考えていたらしい。
病気で入院して
しかも一年は
働けないと知り
言うのをやめた。と
後から聞いた。
後遺症に苦しむ僕を
哀れな目で
見ていたのだろうか?
だけどキミの選択は
間違ってなかったと
僕は思うんだ。
結婚って僕と
キミだけの問題
ではないんだ。
親族も絡んでくる。
キミは僕の親族と
仲が悪かった。
ほかにも僕には
問題があった。
僕の仕事は
国家資格が
必要だった。
努力すれば
合格するものではないが
努力すらしなかった。
僕はそんな賢くない。
その国家資格を
合格するのが
結婚の条件だった。
今さら気づいたが
そのせいだろうか?
僕は常に気に入らない
人間に成り下がって
いたのだろう。
努力もしない。
言うこと一つ
こなせない。
クズだったんだ。
そりゃ口も
きいてくれないよね。
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