アルキメデスの大戦
昭和八年。時は太平洋戦争前。
海軍では、これからは空母だ、という山本五十六派と、伝統的で美しい戦艦による砲撃戦だ、という平山派があった。両者はそれぞれ、空母と戦艦の計画書を提出。
山本派の人間たちは、相手の戦艦の見積もり費があまりにも安いことに気がつく。そこで、つい最近まで学生だった数学の天才に積算させる。戦争を止めるために。
いやー、めちゃ面白かった。
原作は『ドラゴン桜』の人が描いた漫画ということで、面白いという前評判はきいていたんです。でも、観はじめてすぐに「これどうやって決着つけんの?」と不安になってきます。
主人公の天才は、とにかく戦争が大嫌い。軍人もきらいだしアメリカにケンカふっかけて勝てるわけ無いじゃん、馬鹿なの?! ってかんじの合理的人間です。
そんな彼が、戦争を未然に防ぐために今回の仕事を引き受ける。
もしも平山派の戦艦が完成しちゃったら、まっすぐ戦争コースが見えてたから。
でもね、その戦艦って、あの「戦艦大和」なんですよ。
歴史に疎い私でも知ってますよ。「宇宙戦艦ヤマト」のネームバリューすごい。
ていうか、映画の冒頭で戦争のシーンあるんですよ。この冒頭がものすごいんです。ちょっとネタバレなんですが、語ります。どこかの海上で、戦艦大和に日本兵がすごい数乗ってて、アメリカの戦闘機と戦ってるシーンからはじまるんです。
戦艦の砲撃はみんなでぐるぐる回して角度調節してぶっ放す、というめちゃ非効率な方法で、味方がばんばん無駄に死んでいく。でもアメリカ軍の飛行機は小さいから小回りがきいてほとんど撃たれず、着実に大和にダメージを与えていく。
そこで、一機だけアメリカ側の戦闘機が海に落ちるんです。パラシュートが出て、よく見えないけどだれかが落ちたことだけわかる。そこへ、一機の飛行機がすーっと海におりていって、どうやら落ちた兵士を救い、ふたたび上空へ上がっていく。
その様子を、いままさに死にかけている日本兵が呆然と見送る。たったひとりも見捨てないことに衝撃を受けながら。そして、戦艦大和は海に沈んでいく……。
ここで「十二年前」というクレジットがはいって、映画がはじまる。
うわー!!
この間セリフなしですよ!
うわー!!!
つまり我々はもう知ってるんです、大和が完成しちゃうってこと。でも主人公はそれを阻止するために全力を注ぐのです。えっ、まじでどうオチつけるの??
なんの問題もありませんでした。
ていうかすんごいかっこいい終わり方をしました。
いや、私、ダメなのこういうの。大好きなのこの映画。
ただ、もっかい観たいとは思わない。だって主人公の演技が……なんていうか……あのわざとらしい舞台っぽい演技って、わざとなのかな? ドラマだったら、そりゃ洗濯物たたみながらでも理解できるくらいのノリで作らなきゃいけないのはわかるけど、映画なんだからもっと普通の演技でいいのでは……。
ともかく、冒頭とラストが最高だったので、この映画は最高です。
暗雲に向かって突き進む大和、かっこよすぎ。
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