9〈ナイン〉〜9番目の奇妙な人形〜

 背中に大きく9と書かれた人形が目を覚ます。


 そこは文明が崩壊した薄暗い世界だった。


 自分のいた家を飛び出し、荒廃した町を歩いて行くと、2と書かれた人形と出会う。


「ぼくらは仲間だ。一緒においで」


 だが、2は突然あらわれた四足のロボットに連れて行かれてしまう……。




 個性的な9つの人形が、それぞれに意志を持って動き、行動する物語。


 2を助けるために動く者、安全牌をとって隠れる者、ひたすら絵を書く者、知識を集める者、戦う者、暴れたい者……こういうお話って、なぜか主人公がいちばん見た目無個性なんですよね。で、持っているのは「勇気」的な。


 思ったよりもアクション多めで楽しめました!


 しかも世界観がかわいいのよね。ちっちゃい人形たちが人間サイズのものを駆使して生活を営んでるのが面白い。ロボットじゃなくてあみぐるみというのが素敵だし。


 宣伝でやたらと「命を伝える」などと言っているので、「ああこの人形たちは人間の命が入ってるんだな」とわかって観ていましたが、最後のシーンはなかなか。



 この先はネタバレなんですが、





 けっこう人形たちが死んじゃうんですよ。



 でもストーリー的に「生きかえるのかな?!(ジャンプ脳)」とか期待して観ている。だけどけっきょくそのままで……ええ、まじで……としょんぼりします。ところがその直後、死んだ人形の命が空に還っていく表現がありまして。


 そこで(おそらく戦後はじめて)雨が降るんです。


 カメラが下がってレンズに雨粒がかかって、この映画での命の色である緑色がアメーバみたいにきらきら輝く。そこで主人公のセリフがかかります。


「この世界を見守っていかなくちゃ」


 明確な説明はないんだけれども、そこでわかるんです。天に還った命が新しい命を生んで、ああこの人形たちがその生命たちを導いていくんだな、と。


 うーん、うまい!


 と、思ったんだけど、レビューを見ているとけっこうその意味に気がついていなくて「あの世界あのあとどうなんの?」的な感想が多く、あれ全然伝わってないな……と苦笑いしました。まあ創作物なんてそんなもんですよね。「これで伝わるだろ」って思って書いても全然通じてなかったりしますもんね。はあ(ため息)



 ちょっとかわいい3Dアニメ。

 ティム・バートンが惚れたのも納得の世界観です。

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