リトル・ボーイ 小さなボクと戦争
彼は小さな男の子。
町の人たちには「リトルボーイ」とバカにされている。
でも、いいんだ! だってあこがれのマジシャンが、自分には不思議な力があるって舞台で示してくれたし、なにより大好きなパパがいるんだから!
それなのにお父さんは戦争に行ってしまった。守ってくれる人はもういない。「動け!」と言えば動くはずの不思議な力も、マジシャンがいないときには働かない。
しかも、収容所からある男が町に帰ってきた。
そう、お父さんがいままさに戦っている国、にっくき日本人の男が!!
かわいい感じで進むポップな映画。予告では『ライフ・イズ・ビューティフル』と並べられているけれど、なんかとっつきにくい。なぜだ。たぶんそれは、日本と戦争中のアメリカが舞台だから。
そりゃそうだよね。日本人、差別されるよね! 日本だって「鬼畜米英」とか言ってましたもんね! 可愛い男の子が「こんにちはジャップ」って言うのきつい!
でも映画自体は面白いんです。
そこもまたつらいのだけど。
この映画には反知性主義の一端が描かれています。
反知性主義って、べつに「バカでもいい」って主張ではありませんよ。当時のアメリカにはびこっていた、キリスト教の「ラテン語で祈りを唱えないとだめ」的な、「教養がないと信仰心は正しく示せません」的な風潮に、NOをつきつけるものです。
神さまに祈るのに、小難しいことは要らない!
ただ、物事を動かしたい、そういうひたむきな心に、神さまは応えてくれるんだ!
「お父さんを家に帰すために、ボクの力で戦争を終わらせる!!」
毎日、毎日、彼は海の向こうに向かって力を送り続ける。
ただただ、お父さんに会いたくて。
そして、彼はやり遂げた。
リトルボーイ!
それは、ヒロシマに落ちた原爆の名前……。
もうね、なんか、いい映画なんだけど観ててつらい。
原爆が落ちて喜んでるアメリカ人たちの笑顔がつらい。
日本で育って、その悲惨さを叩きこまれているからかな……しかもヒロシマのことはさらっと流されるし(予告編では後悔してるっぽい字幕にされてたけど)
でも、いい映画なんだよなあ。
複雑なことに。
このなんとも言えない不思議な体験、あなたもしてみては?
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