クロニクル

 さてみなさん、一度は妄想したこと、ありませんか?


 もしも超能力が使えたら……。


 アメコミのスーパーヒーローみたいに、突然力に目覚めたら。


 アニメやラノベみたいに、とっても強いだれかになれたら…………。



 これは、まさにそんな映画。





 三人の高校男子が、ひょんなことから超能力を手に入れる。はじめはおもしろくて仕方ない。練習を重ね、できることが増えていく。


 アメコミとちがい、宇宙人の襲来やマッドサイエンティストとの戦いはありません。そうはならなくて……悲しすぎるけれど納得の展開に、胸がつまる。





 この映画は、ちょっと変わった手法で撮られています。


『クローバーフィールド』などでもあった、「登場人物が撮影している」ていで映像が流れるのです。


 こういうのって、昔はちょいと無理がありました。いや、撮ってる場合じゃないだろ、カメラ置いて逃げろよ、とか、そういうのありました。


 でも今はユーチューバーが普通にいます。みんなスマホを持っているし、若者ならばちょっといいカメラを持ってドキュメンタリー映画を撮りたい、なんて言っていても違和感はありません。そういう学生はいつの時代にもいるし。


 てかこの映画に関しては、この手法がめちゃくちゃテーマに合っているのですよ。虚栄心というのか。ナルシシズムというのか。


 ゆがんだ登場人物の心のひずみが、「自分を撮る」行為に投影されている。


 すごい。


 なんだこれは。





 鬱屈としたものを抱える「陰キャ」の抑圧と逆ギレ的な爆発。


 今公開中の『ジョーカー』にも非常に似たものを感じます。


 ていうかジョーカーのこと考えすぎててこのレビューを書いちゃったのよね。




 おすすめです。

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